堤真一が語る“親心” 「『ダメ』ではなく『やってみな』と言えるようになりたい」

『妻、小学生になる。』堤真一が語る親心

 16年ぶりのTBSドラマ出演となる堤真一が主演を務める『妻、小学生になる。』が1月21日より放送される。

 村田椰融による同名漫画を『凪のお暇』(TBS系)、『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)の大島里美による脚本で映像化する本作は、妻を失った夫とその娘が、10歳の小学生の女の子に生まれ変わった妻(母)と奇跡の再会を果たして描かれる家族再生の物語。

 今回、主演の堤に、16年ぶりのTBSドラマ出演となる本作にかける思いや、再共演の石田ゆり子に寄せる絶大な信頼感などについて、話を聞いた。(編集部)

共感できるところはないかも?

――脚本を読んだ時にどのようなテーマを受け取り、どんなことを伝えていきたいと感じましたか?

堤真一(以下、堤):とても難しいですよね。大切な人を失って、希望や生きる意味をなくしてしまうことはあると思うんです。でも僕個人として、そういう方たちに「がんばりましょうよ」と面と向かって言うことは難しい。だから、物語を通して少し目線を変えることで、少しでも前に進めるような作品になってくれれば嬉しいです。

――そういうメッセージを伝えたいという思いで、この役を受けられたのでしょうか?

堤:いえ、お話をいただいたのは、もう2年以上前だったかな。もちろん仕事については自分で脚本を読んだ上で判断しますが、正直なところ、「また漫画原作?」と最初は思いました。でも、メッセージうんぬんではなく、この作品は読み物として純粋におもしろかったので、お受けすることにしたんです。

――圭介に共感できるところはありますか?

堤:共感できるところはないかも(苦笑)。今は時代が違うというのはもちろんわかっていますが、世代なのか「俺の人生、全部キミのために」という感覚があまりわからなくて……(笑)。

ーー共感できないなと思うところは具体的にどんな部分ですか?

堤:大切な人をなくして自分自身が落ち込むのはわかるけど、思い切りドツボにハマって娘のことはほったらかし。娘の人生までダメにしてしている気がしますし。むしろ娘のほうが大人で「本当に愛していたからしょうがない」と、お父さんのことを理解してあげている感じなんです。もし自分が同じ状況になったら、子どものためにもなんとか頑張って生きなきゃ、笑顔を見せなきゃって思うだろうなと思うんです。

――共感できない役を演じる時は、どのような心持ちなのでしょうか?

堤:共感はできないとしても、決して僕が思う生き方だけが正しいわけじゃない。それに、客観的にみても、妻に甘えっぱなしの今回の役はすごく楽しいんです。「いいなぁ、このいい加減な生き方」とも思えるんですよね。どんな役でもそうですけど、自分に近づけるというより、その役から学んだり教わったりすることが多いですし、そこが面白いところですね。

――あえて似ている部分を探すような作業はしないと。

堤:今回に限らず、そういうことはしないですね。たしかに若い時は、一生懸命に共通点を見出して、みたいなことをやっていたかもしれない。でも、いろんな役をやっているうちに、どんな人でも何かしら自分の中に共通する部分があるというか。それを無理やり探すよりも、まずはセリフを口に出してみると、意外と抵抗なくすんなり言葉が出たりもする。今回は、甘えるって大事だなと思いました(笑)。

――学びがあったわけですね(笑)。同じく石田ゆり子さんと夫婦役を演じられた映画『望み』の舞台挨拶では、石田さんとのほんわかしたやりとりが印象的でした。

堤:今回は、貴恵さんのセリフを小学生の(毎田)暖乃ちゃんが言わなきゃいけないので、彼女のお芝居について話すことが多いです。とにかくおおらかな人だし、芯が強い。あまりワーッと話すタイプの人ではなくて、「天然」と言うとご本人は否定されますが(笑)、本当におもしろいんですよ。『望み』の時は辛い役だったけど、今、ゆり子さんと演じているのは楽しかった夫婦の時間なので、とても気楽に楽しくやっています。ものすごくパワーのある女性の役なので、本当におんぶに抱っこですね。

――現場での居方について、主演として意識していることはありますか?

堤:そもそも主演という意識があまりないんですけど、今回は家族の物語なので、コミュニケーションをちゃんと取るよう心がけています。親子役なので、蒔田(彩珠)さんとはいろいろな場面で喋っていますね。

――役どころや物語によっても居方は変わりますよね。

堤:そうですね。でも、『望み』の時もゆり子さんとはしんどいシーンばかりだったんですけど、合間にはいろんな話をしていました。芝居している時が大変だから、それ以外は楽にいられるように。なるべく気楽に、感覚で芝居できるように、やっぱり会話をすることはすごく大事。監督ともそうですし、それはどの現場でも一緒ですね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる