石田明×小野塚勇人が語り合う、“無言”の笑い 「制限された中で楽しむために」
「お客さんが入ることで完成形になる」
――この舞台は「やってはいけないことが増えた」ということも、発端になっているとのことで興味を持ちました。
石田:ほんま近年やってはいけないことは増えたと思うんですね。コロナ禍であんまり喋ったらあかんということなんかもあるんですけど、それをただこっちが止めているだけだと、エンターテインメントって崩壊していくと思うんです。なので、制限された中で、それをもっと面白く表現できることがあるんじゃないかと思ったんです。例えば温泉で卓球やるときに、一回、利き腕じゃないほうでやってみようってなったりするじゃないですか。それで結果盛り上がったりする。そういうのと同じだと思うんですよ。ルールが変わったとして、そのルールの中で楽しもうと思ったら楽しめるはず。そんな考え方を持ってたら、日々楽しめると思うんですよ。
小野塚:すごくいい考え方だと思いますね。誰のことも傷つけないのは前提で、しかもそれをさらに新たな笑いに変えてやろうっていう、そのパワーみたいなものが凄いなって思いますし、尊敬しますね。今って窮屈なことも多いけど、そのルールに従いつつも、逆転の発想を生もうとする、その考え方が素敵だと思いました。
石田:やっぱ、そんな風に発想を変えるということを、エンタメ業界でも進めていかないとと思うのでね。
――コロナ禍で、舞台に観客が入れられないと言うこともあったと思いますが、お客さんが生で観る喜びみたいなものに関しては、どう考えられてますか?
石田:僕が家にテレビがなくて、初めて見た娯楽がお笑いの舞台だったんですね。そんときにほんまに感動したんです。こんなに面白い漫才というものがあって、漫才師って仕事があんねやと思って。でも、その後にテレビで同じ漫才をやってたのに、同じネタだと思えなかったんです。で、また劇場に観に行って同じネタみたらめちゃめちゃ面白くて。でも、そこに嘘はないと思うんです。僕はもうファン上がりなので、誰よりもお客さん最優先で、そこに対しての自信もあるんです。最近はオンライン配信にも慣れてきましたけど、結局、それではお客さんのエネルギーをもらえてないんですよね。舞台ってお客さんのエネルギーをもらうことによって、今日は感動したり、今日は爽快感のある話になったりと傾いていくんですよね。お客さんの感性で変わっていくのって本当にすごいなって。台本にもト書きにも書かれていない感情を作ってくれるのは、やっぱりお客さんなので、この舞台も、お客さんのエネルギーをもらって、完成するものになってほしいですね。
小野塚:それは本当に感じますね。やっぱり、劇場入って、本番入って、お客さんが入ることで完成形になるということは、僕も舞台で何回も体験しています。それは生の一番いいところだと思うので、ぜひ劇場に来て一緒に楽しんでもらいたいです。
■公演情報
『結 -MUSUBI-』
東京公演(全6回):
2月4日(金)14:00/18:00
2月5日(土)12:00/16:00
2月6日(日)12:00/16:00
大阪公演(全4回)
2月11日(金・祝)16:00
2月12日(土)12:00/16:00
2月13日(日)12:00
会場:東京公演:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23−21)
大阪公演:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール(〒540-0002 大阪府大阪市中央区大阪城3-6)
脚本・演出:石田明(NON STYLE)
出演:小野塚勇人(劇団EXILE)、株元英彰、廣野凌大、杉江大志、中村里帆、久保田創、守谷日和、瀬下豊(天竺鼠)、石田明(NON STYLE)
公式サイト:https://musubi.yoshimoto.co.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/musubi_newstyle