『不可殺』ウルテは被害者なのか? 明かされたドユンの正体、サンウンとの関係性を考察

 新たに見えてきたサンウンとウルテの関係にも着目しよう。黒い穴の呪いには、サンウンがケガをしたり強い痛みや苦しみを感じたりするとそのままウルテの体にも伝わってしまう作用があった。つまり、ウルテの体は完全にサンウンに支配されているのだ。ウルテの背負う呪いは、想像を遥かに越えた生き地獄である。これまで、対ウルテと構えていたが、ここにきてウルテから切実さや哀れさが感じられるのだ。特に、訴えかけてくる目と「俺が一番気の毒だ」という言葉は妙にしっくりくる。前世からウルテは悪だと決めつけていたが、彼の「殺すのには理由がある」という言葉にも引っかかる。そもそもの始まりはウルテではなくファルとサンウンかもしれない。

 それを裏付けるのは、ヘソクに前世の巫女が乗り移って言い放った「記憶を失った者が記憶を取り戻したら、ここにいる者は皆死ぬ」という予言だ。記憶を失った者とは、当たり前にサンウンのことだと本人たちは思っているが、ファルも前世の記憶がない一人であることに誰も気づいていない。さらに、喉を噛み切られて穴から血を流して死ぬと言うのだからプルガサルであることは間違いないが、プルガサルだったサンウンが人間の血を吸う場面は一切なく、ファルもまた動物の血だけで生きている。となれば、ファルの前世がプルガサルだったとも仮定できる。その場合、ヘソクの予言の対象はファルにもなり得るし、ウルテの恨みはサンウンだけでなくファルにも向けられている可能性があるのだ。ウルテが「昔の主人公たちが集まった」と言ったのは、600年前ではなく1000年前のことだとも考えられる。

 第8話のラストでは、ファルの家族を殺したのはサンウンかウルテか、どちらの主張を信じればいいのか困惑したまま終わってしまった。今後の見どころは、この三角関係とファルの前世だろう。また、ウルテとファルらの間で気持ちが揺れ動いているドユンの行動も追いかけていきたい。

■配信情報
『不可殺 -永遠を生きる者-』
Netflixにて独占配信中(写真はtvNより)

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