『ドライブ・マイ・カー』が非英語映画賞に 第79回ゴールデングローブ賞受賞結果を総括

 事前のボイコット騒動から、授賞式直前の無観客開催の発表など、かなり多くの視点で注目を浴びた第79回ゴールデングローブ賞。映画部門とテレビ映画部門に分かれて発表される本賞は、もともとアカデミー賞の前哨戦としてもその結果が毎度注目されている。ところが、今年はなんと受賞作を決める投票権を持つハリウッド外国人映画記者協会のメンバーに、黒人が一人もいなかったことが判明。くわえて、その後も同協会に所属する記者の素行の悪さが取り沙汰され、ハリウッドの俳優陣からの批判が相次いだ。

 この流れを受けて主催団体が10月1日に黒人6名、女性10名を含む21名が新たに入会したと発表したが、それでも事前の3月に発表されていた黒人メンバーの新規加入数13人を結果的に下回っていることから再び非難を受ける。それでも例年通りネット配信やレッドカーペットなどのイベントが行われようとしたことから、関係者の多くがボイコット。

 Netflixが17作品の最多ノミネートとなっていたが、同社も欠席表明を出していた。テレビシリーズ・ドラマ部門の作品賞、主演男優賞、助演男優賞にノミネートされていた『イカゲーム』も、主演イ・ジョンジェの所属事務所が授賞式欠席を表明し、ファン・ドンヒョク監督と助演男優賞にノミネートされた作中「1番」でお馴染みのおじいちゃんオ・イルナムを演じたオ・ヨンスもこれに続いた。そんな中、オ・ヨンスが助演男優賞を受賞! 79年ものゴールデングローブの歴史で、韓国人俳優の受賞はこれが初めてのこと。2020年には『パラサイト 半地下の家族』が、2021年には『ミナリ』がノミネートされていたが、ついにその快挙を遂げた。

 快挙といえば、1月9日にも全米映画批評家協会賞で作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4部門を受賞した『ドライブ・マイ・カー』が、ゴールデングローブ賞でも非英語映画賞に輝いた。全米映画批評家協会賞では、西島秀俊がアジア人俳優として初めて主演男優賞を受賞したことでも注目を浴びており、ますますアカデミー賞への期待が高まる結果となっている。

 そのほか、作品賞(ドラマ)を受賞したのは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。Netflixオリジナル作品として、監督賞、助演男優賞を含む3賞を獲得。主演男優賞を同作のベネディクト・カンバーバッチが取るのでは、と言われてきた中で『ドリームプラン』のウィル・スミスが賞を受賞した。彼はこれまで幾度もゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされてきたが、受賞に至ったのは今回が初めてのことだった。

 ミュージカル/コメディでは『ウエスト・サイド・ストーリー』が3賞を受賞。テレビドラマ部門では『キング・オブ・メディア』(シーズン3)が作品賞および主演男優賞、助演男優賞の3賞を受賞し、マーベルドラマ初のノミネートとなった『ワンダヴィジョン』は惜しくも受賞に至らなかった。また、同部門のドラマ主演女優賞では、『POSE/ポーズ』出演のMJ・ロドリゲスが受賞し、同賞において史上初のトランスジェンダーの俳優の獲得という快挙を遂げた。

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