『あなたに似た人』静かに迎えた最終回 執着した物を失った“似たもの同士”の4人の結末

 『あなたに似た人』とは、4人のことを言っているようにも思う。なぜなら、4人とも執着していたものを失ってしまった、“似たもの同士”からだ。ヒジュは家族と欲望まみれの生活を失い、夫のアン・ヒョンソン(チェ・ウォニョン)は不倫を許してまでもそばに置いていたかったヒジュを失い、ウジェはヒジュとの愛を失い、ヒジュの人生が破滅を望んだところで虚しさしか残らなかったへウォンは、復讐のために誰かの人生を台無しにした代償を受け、ハッピーエンドは待ち受けてはいなかった。

 檻の中で暮らすヒジュは、以前のような華やかな赤色ではなく暗い深緑色のコートを着て街中を歩いている。そこで、偶然にもへウォンが展示会を開くことを知り、輝いていた頃の彼女の人生をまた歩み始めたことを確認する。結局、ヒジュとずっと一緒にいることになったのはウジェだ。「俺が何も得られなかったら、お前も何も得ることができない」と言ったウジェの言葉通りになってしまった。もしかしたら、ウジェが首に刺さった万年筆を自ら抜いたのは、自分が死ぬことでずっとヒジュのそばにいられるという思いがあっての行動にも取れる。独りになってしまったヒジュが自分の物語を終わらせようと湖に来た時、ゴーンゴーンと鐘の音が聞こえてきたのは、「湖にスライゴ修道院の鐘が沈んでいるんだよ。今でも純粋な心を持つ人には鐘の音が聞こえるんだって」という話の通りに解釈すれば、すべてを捨てて欲が一切なくなった今のヒジュに、もう一度人生を始めることができる合図だったのかもしれない。

■配信情報
『あなたに似た人』
Netflixにて独占配信中
原作・制作:イム・ヒョヌク、ユ・ボラ
出演:コ・ヒョンジョン、シン・ヒョンビン、キム・ジェヨン、チェ・ウォニョン、キム・ボヨン、チャン・へジン、シン・ドンウク、キム・スアン、キム・サンホ、キム・ホジョン
写真はJTBC公式サイトより

関連記事