『カムカムエヴリバディ』安子×勇×雪衣に三角関係の予感? 岡田結実の抑えた演技が光る

 雉真家に戻ってきた安子(上白石萌音)は、豆腐屋の店先でおはぎを売り始める。安子の横にはるい(中野翠咲)の姿もあった。

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第27話。安子が和菓子屋を再開した理由はるいだった。「るいのおでこの傷だきゃあ私がどねんかしてやりてえ」。るいの治療費を工面しようと、安子は朝早くからあんこの仕込みに精を出す。店先で過ごす時間は親子2人の心休まるひとときだった。そんな安子に良い顔をしなかったのが千吉(段田安則)で、るいを連れて行かないようにと釘を刺す。「長男の嫁とその幼え娘ょう外で働かしょおるとなりゃあ、雉真のメンツに関わるんじゃ」。「るいは雉真の子」という千吉の言葉を安子は受け入れるほかなく、またしても親子の居場所は奪われてしまった。

 雉真家のしがらみに悩んでいたのは安子だけではなかった。戦死した稔(松村北斗)に代わって跡取りになった勇(村上虹郎)は経営の勉強に四苦八苦。「わしゃあつくづく野球しか能のねえ人間じゃ」。珍しく弱音を吐く義弟を、幼なじみの安子は「勇ちゃんしかできんことがあるんじゃねえかなあ」と励ます。好きだった相手の優しい言葉に嬉しさがこみ上げ、照れ隠しからか、お腹が減っていたこともあって作りかけのあんこに手を出す勇。それを制止する安子。

 声に気付いて台所の方を見た雪衣(岡田結実)の目に飛び込んで来たのは、じゃれ合うような2人の姿だった。雪衣のほうきを持つ手が止まり、表情がこわばる。雉真家に来た雪衣がひそかに勇に思いを寄せていることは、これまでの場面でも示唆されていた。朝ドラ初出演の岡田結実は、抑えた演技の中にわずかな表情の変化で心情を表現。雪衣がどんな人で、どんな背景を持っているかは明らかになっていないが、安子を加えた勇との三角関係は物語の帰趨にも影響しそうだ。

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