『カムカムエヴリバディ』雉真家に不穏な予感 上白石萌音の複雑な表情が意味するもの

 大阪で事故に遭った安子(上白石萌音)は、ケガをした娘るい(中野翠咲)を連れて、岡山の雉真家に戻った。待ち構えていた義母・美都里(YOU)の表情はかたい。だが、安子が「勝手をして申し訳ありませんでした」と膝を折って頭を下げると、美都里は「帰ってきてくれてありがとう」と返す。そして美都里はとても嬉しそうにるいを抱きしめた。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第6週初日を迎え、安子とるいの雉真家での暮らしが再び始まる。

 勇(村上虹郎)に連れられ、安子とるいは再び稔(松村北斗)の部屋に戻ってきた。そこで安子はタミ(西川かの子)に代わり、新しくやってきた女中・雪衣(岡田結実)と出会う。

 安子は久しぶりに雉真家で食卓を囲む。上手に箸を使うるいに関心する美都里と千吉(段田安則)に、勇は安子とるいの方を見ながらあたたかな声で「義姉さんがようしつけたということじゃ」と言う。雪衣はケガをしている安子を気遣い、美都里は優しい眼差しでるいを見つめている。千吉は安子に「ここに帰ってきたからにゃあ何も心配するこたあねえ」と話す。その場の空気は穏やかだが、安子の表情はどこか晴れない。その晩、安子が稔の写真を見つめていると、るいが「これからずっとここに住むん?」と聞く。「ずっとお母さんとおれる?」とも。幼心に、母・安子の心情を感じ取っているかのようだった。安子は「お母さんは何があってもるいを離さん」とるいをぎゅっと抱きしめる。

 思えば、物語冒頭で美都里がるいを抱きしめた時も、安子は複雑な表情を浮かべていた。雉真家に身の置き場がないことを不安に感じているというよりかは、「ここではないどこか」に思いを馳せているように見えた。そんな安子の心の内は、親友・きぬ(小野花梨)と再会したことで安子の口から直接語られる。

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