MCU『ホークアイ』軽快に進んだ前半戦 ケイト×クリントのコミュニケーションが魅力に

第2話「かくれんぼ」クリントの振り回されっぷりが良いコメディに

 しかめっ面をしていることが多いクリントだが、『ホークアイ』第2話は笑いどころが多い。ケイトがクリントに憧れていることもあり、彼女の前のめりな姿勢と、クリントのクールな対応の噛み合わなさが笑いを誘う。

 ケイトにとっては最高の、クリントにとっては最悪の出会いを果たした2人は、ローニンのスーツをクリントに返すためケイトの部屋へ。そこでの2人のやり取りは、『スパイダーマン:ホームカミング』でのピーター(トム・ホランド)とトニー(ロバート・ダウニー・Jr.)を彷彿とさせる。あこがれのヒーローが自分の部屋にいることに興奮を抑えられないケイト。しかし、クリントの反応はいたってクールだ。

 その後“ジャージ・マフィア”に襲われた彼らは、辛くも部屋から脱出する。一旦ケイトの叔母の家に身を潜めることにし、それぞれ傷の手当てをする2人。手慣れた様子のクリントと違い、ケイトはこの手のことは初めてのようで、うまくできない。クリントは彼女に手当ての方法を教えるのだが、ここでも彼の父親らしい顔が垣間見える。思えば彼は、これまでにも若いヒーローに対して、父親とまではいかなくても、メンターのような役割を担っていた。『エイジ・オブ・ウルトロン』でワンダ(エリザベス・オルセン)に言葉をかけたときがそうだ。それは彼が、戦いを離れれば普通の父親だったからできたことなのではないだろうか。

 翌日クリントは、火事になったケイトの部屋で見つけた手がかりを頼りに、“ライブRPG同好会”へ向かう。そこは中世の騎士やバイキングのようなコスプレをした人々が、戦いごっこを楽しむ場所だった。予想どおり彼はそこでローニンのスーツを着た人物を見つけ、返してくれるよう頼もうとするのだが、事態は予想以上に面倒くさいことに。クリントはゲームに参加し、スーツを着た人物と戦わざるを得なくなる。本物のヒーローである彼にとって、素人の相手をするのは朝飯前だが煩わしい。ヒーローを辞めたいクリントにとって、逆にヒーローになりたい人々の気持ちは理解できないのかもしれない。それは相手がケイトであっても、きっと同じなのだろう。

 なんとかスーツを取り戻した彼はジャージ・マフィアを対処することを決意し、妻ローラ(リンダ・カーデリーニ)に連絡を入れた。彼女は長年“ヒーローの妻”をやっているだけあって、かなり肝が据わっている。それに、クリントがローラにこれまでも仕事の話をしてきたことが窺えるシーンになっている。多くのヒーローは、家族を危険に巻き込まないために自分の仕事を秘密にする、あるいは詳細を話さない。しかしバートン家は、“父親の職業はヒーロー”ということを普通のことのように受け入れているのだ。これはなかなか珍しいし、クリントにとって家庭が安らげる場所であることにも納得がいく。そして彼は首尾よくジャージ・マフィアをおびき出し、彼らのアジトへの潜入に成功した。

 一方、母とジャックと3人でのディナーの席で、ケイトの彼に対する疑念は確信に変わる。アーマンドが剣で殺されていたことから、ジャックが殺したのではないかと睨んでいた彼女。その腕前を試そうとフェンシングでひと勝負するわけだが、彼女は負かされただけでなく彼が手を抜いていることに気づく。そして、ジャックもケイトを試すかのようにキャンディを差し出す。それは、アーマンドの死体があった部屋に置かれていたもので、明らかに彼が現場にいたことを表しているのだ。彼女はクリントに連絡を取ろうとするが、電話に出たのはジャージ・マフィアのメンバーだった。余裕たっぷりに下っ端マフィアの相手をしていたクリントのもとへ、彼を救出しようとやって来たケイトが乱入。しかしそれは事態を悪くしてしまった。クリントは完全にあきれ顔だ。こんなに間が悪く、ヒーロー着地もできない彼女を、今の彼は厄介な存在としか思っていないだろう。

 そしてようやく、ジャージ・マフィアのボスが姿を現す。大音量で音楽が流れるスピーカーに手をあてる彼女は、どうやら聴覚障害があるようだ。この人物は、かねてから登場が予告されていたエコーことマヤ・ロペスと見られる。クリントを捕らえた彼女の目的はいったいなんなのか。彼女が本作のヴィランなのか。これらはまだ予想がつかない。

 第2話では、『ホークアイ』もこれまでのMCUドラマと同じく、ユーモアと迫力のあるアクション、そして謎とともに本格的に幕を開けた。チャーミングなケイトの成長を期待させる一方で、一刻も早く事態を収拾させたいクリントのイラだちもコミカルに描かれている。またジャージ・マフィアの1件と、ジャックの怪しい動きのつながりはまだ不明だ。あと5日でクリントがこの面倒くさい任務を完了させ、無事に家族のもとへ帰ることができるのを祈るばかりだ。

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