『ハンオシ』百瀬が明葉に好意を持ち始める? 高杉真宙の挑発的な眼差しもいい
かなり歯痒くじれったい百瀬(坂口健太郎)と明葉(清野菜名)の関係が“第三者”の介入によって一気に進展した『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)第6話。
まずは、訳あって明葉が百瀬に幹事を依頼した合コン先で、彼女にやけに懐き好意を寄せる牧原(高杉真宙)と百瀬の直接対決が見られた。何かにつけ明葉との親密な関係を匂わせ、百瀬の気持ちをチクチクと刺激する。牧原演じる高杉真宙の挑発的な眼差しがとにかくいい。無邪気にいたずらっぽく笑う少年っぽさの中に、急に一歩引いて俯瞰で周囲を見られる大人びた洞察力も持ち合わせており、そのバランス感が絶妙で二面性がたまらない。「男女の友情って特別だと思うけど。下手に付き合ったり愛のない結婚するよりも深い関係築けるし」という牧原の言葉に、百瀬の中にも彼がそうと意識しているか否かはさておき確実に“嫉妬”に近いモヤモヤが湧き上がる。
そうだ、百瀬! いいぞいいぞ! 少しは明葉の気持ちがわかってきたか。いくら先に兄の妻・美晴(倉科カナ)への好意を打ち明け、進展は望んでいないと宣告していようとも、自分の前でまざまざとその相手への好意を見せつけられるのは面白くないし、胸がザワつくだろう。
百瀬が今味わっている感情も明葉のそれに近い。百瀬と明葉の夫婦関係を認識している牧原が、いくら“友情のハグ”とはいえ明葉への好意を匂わせ、親しそうにしているのを見せつけられるのは何だかモヤモヤするだろう。いくら、“僕たちは偽装夫婦だから”という前提が念頭にあろうと、そう単純に割り切れる感情ばかりではないはずだ。
いつまでも“初恋の思い出”を引きずり、ある意味“過去”にばかり囚われている百瀬が、ようやく“今現在”に目を向けられるようになってきているように思える。ようやく、百瀬の中でも明葉に対する特別な気持ちが芽生え始めたのを意識し出したようだ。
「心が折れている、お医者さんでも治せない」と聞いて、反射的に“自分が励ましたい”“側にいたい”と思い、居ても立っても居られなくなる……この感情の動きを“恋の始まり”と言わずして何と呼ぶだろうか。
励まそうとして突如キスしてしまったのは、牧原の挑発や嫉妬心がずっと心に引っかかっていたのもあるだろうし、焦りが裏目に出て空回ってしまったということもあるだろう。説明のつかない感情に突き動かされることこそ、相手のことを“特別”だと思っている何よりの証拠だ。
そしてそんな百瀬に突然押しかけてきた明葉の両親が大切なことを思い起こさせる。「あなたたちなりでいいのよ。あなたたちなりの形を」ーーこれは、2人が偽装結婚による共同生活を開始した初日に掲げた初心とも重なる。