『恋慕』フィの運命が大きく変わり始めた第11話&第12話 世子の廃位が決定し流れる涙

 辞職願を提出し、世子イ・フィ(パク・ウンビン)のそばを離れることにしたフィの師匠チョン・ジウン(ロウン)。Netflix配信中『恋慕』の第11話、第12話では、ある事件によりフィの運命が大きく変わり始めることになる。

 ジウンが都を発つ日に現れたのは、史曹判書の娘シン・ソウン(ペ・ユンギョン)だ。思いを寄せていたことを告白し、涙ながらジウンを引き留めようとする。ジウンはその手を握り返すと、気持ちに気づかなかったことを謝り、この出会いは良い縁だったと言葉をかけた。そんな二人の姿を偶然にもフィの叔父チャンウォン君が目撃することに。チャンウォン君は、世子嬪候補であるソウンが世子以外の男性を慕っていることを兵曹判書の娘を世子嬪にしたい左義政ハン・ギジェ(フィの母方の祖父・ユン・ジェムン)に告げ口をする。その結果、史曹判書シン・ヨンスは王室を愚弄した罪を認めざるを得なくなり、王イェジョン(イ・ピルモ)の大事な家臣が失われ、チャンウォン君はギジェの思惑に貢献することになった。

 翌日、フィはソウンに会いにいく途中、チャンウォン君が史曹判書の使用人チャニを乱暴に扱っている場面に出会す。王族の自分ではなく奴婢をかばうフィに怒るチャンウォン君に剣を突き出し、「この娘は私の尊い民です」と一歩も引かないフィ。ジウンがいなくなった今、さらに凛々しく威厳が増したようにも見える。その後、ソウンが世子嬪を望んでいないことを改めて受入れたフィは「こんな縁でなければよき友になれたのではないか」と言う。自分の気持ちを伝える勇気もないフィに、ソウンのような率直に気持ちを伝えられる友がいたらどんなに励まされたことだろう。フィが世子であり正体を隠している以上、どんな縁であっても相手の幸せを願うことしかできない、それがフィの歩んでいる道なのだと改めて思わせるシーンだった。そんな切なさを残し、フィが去ろうとすると庭先でチャニの遺体が発見される。

 フィの従兄であるイ・ヒョン(ナム・ユンス)の協力を得て、チャンウォン君がチャニを殺害した犯人だと突き止めるが、奴婢の命を軽んじるチャンウォン君の態度に、チャニの墓の前で跪いて謝罪することを命じるフィ。王族が奴婢に跪く行為は屈辱でしかないが、チャウン君は悔し涙を流しながら従うしかなった。しかし、王宮ではフィの行動は王族や両班を刺激し秩序を乱すことだと批難され、チャンウォン君は遺体となって発見されてしまう(チャンウォン君が自殺したのかは怪しいとことろ)。チャンウォン君の遺書を利用し、ヒョンの兄ウォンサン君は、継妃の父である領議政チャンチョン君に儒生を使って世子の廃位を求めるように仕向ける。先代の王が早世しなければ世子になるはずだった長男のウォンサン君と、孫のジェヒョン大君を世子にしたい継妃の父チャンチョン君にとってフィの世子の廃位は好都合だからだ。

 これまですべてを堪えてきたフィがチャニのことを見逃せなかったのは、“奴婢ゆえ死ぬべきだった娘”と“女ゆえに死ぬべきだった自分”を重ねたからだった。ただ世子としてその座を守るためだけに生きるには、あまりにも虚しい。その心を労ってくれたのはキム尚宮とホン内官、そしてヒョンだった。その夜、フィの元を訪ねたヒョンは、出会った頃から本物の世子ではないことに気づき、同時にフィを守ることを誓ったと打ち明けた。そして、ヒョンがフィに言った「道がわからなくなったら、私が道を教えましょう」の言葉通り、世子が行き止まりだと思っている道の先に舟を用意し、行き着く場所でもお供すると赤色の花靴(女性の履き物)を渡す。遠くにいるジウンも同じ気持ちだ。都から離れた温陽(オンニャン)で医院を開き元気に過ごしてはいたものの、庭に咲く花を見ればフィに思いを馳せ、フィの身を案じていた。フィから離れる選択をしたジウンだが、思いは募るばかりだ。

 ヒョンが去った後、フィは花靴をこっそり履き、部屋の中を一歩一歩ゆっくりと歩いた。フィでもなく世子でもない瞬間ではあったが、計り知れないほどの大きな重圧を可愛い花靴が入るくらいの小さな足で支えていたなんて。悲しく哀れな姿が象徴されていた瞬間でもあった。

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