坂口健太郎=菅波先生から目が離せない 『おかえりモネ』は次なるステージへの架け橋に

 さて、改めて坂口健太郎とは何者なのだろうか。彼は今回のような、つい応援したくなる青年の役によくハマる印象がある。たとえばそれは、『今夜、ロマンス劇場で』(2018年)で演じたスクリーン上のヒロインに恋い焦がれる映画青年のことであり、父と向き合いたい一心で奮闘した『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(2019年)のアキオ役などがそうである。しかしこの手の若者役だけでなく、サスペンス作品ではシリアスな役どころにも配されているし、作品の看板を背負った『シグナル 長期未解決事件捜査班』(2018年/カンテレ・フジテレビ系)及びその『劇場版』(2021年)ではアクションにも挑んでいる。

 モデル業からキャリアを開始した坂口が、俳優業をスタートさせたのが2014年のこと。あれから7年。彼は現在30歳だが、この世代の俳優の中でもこの年数は、決して長いものではないだろう。しかし近年は主役か、もしくはそれに準ずるポジションを担うまでになった。キャリアの初期からジャンルを問わずさまざまなタイプの作品に出演してきたが、過去作を振り返ってみると、最初から器用に演じ分けることができたのではないのが分かるのではないかと思う。坂口は“器用だからここまでこれた”のではなく、“ここまできたら器用になっていた”という印象がある。彼が誠実に演技というものに向き合ってきた結果が、いま現れているのではないだろうか。この“誠実さ”は、菅波先生役にとてもよく活きているように思う。またもヒロインの相手役を務める『婚姻届に判を捺しただけですが』(2021年/TBS系)の放送も開始されたが、この『おかえりモネ』での好演は、次なるステージへの架け橋となりそうだ。“坂口健太郎=菅波先生”から最後まで目が離せない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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