『おかえりモネ』が発信してきた“変わってもいい”というメッセージ 耕治の名前の由来も

「継ぐとか継がないとかじゃなくて、やってみたい。ずっと漁師やってみたかったんだよ」
「嘘つけ」
「あん時はあん時だよ。今違って何が悪いんだよ。人間ってのは変わっていいんだよ」

 人間ってのは、変わっていい。このシンプルな一言は、その場にいる百音や未知だけでなく、これまでいろんな葛藤を抱えてきた登場人物と、彼らの旅路を見守ってきた視聴者の心さえも軽くする。

 これはむしろ、『おかえりモネ』がキャラクターを通して発信してきた、数あるうちのテーマの一つと言ってもいいのではないだろうか。主人公の百音だって、林業に始まりジョブチェンジをたくさんしてきた。東京に行く時も、気仙沼に戻る時も、幾度となく下してきた決断は、時に人にブレていると後ろ指を刺されることだってあったかもしれない。実際、百音自身が気にしていた部分でもある。それでも、そういうふうにやりたいことや意思が変わることは決して悪ではない。変わらないことが正義や美徳ではなく、変わる何かを、変わる自分を受け入れられることこそ、一番大切なことなのだ。変化を恐れて続けてきた新次も、その変化に向き合い、受諾したことでようやく次に進めるのだから。

 龍己にも受け入れられ、3月には銀行を退職することになりそうな耕治。昇進を蹴ってまでの決断に少し不安げな姉妹ではあるが、亜哉子(鈴木京香)は「まあ実際無理かもねえ。でもやりたいことは変わってもいいし、いつ始めてもいいんじゃない?」と楽観的にふるまった。本当、『おかえりモネ』はこういうさりげないセリフが身に沁みる。「土地を耕し、水を収める。何があっても自分の力で踏ん張れる。私たちはどうしても自然に振り回されてしまうから」という、耕治の名前の由来も素敵なエピソードだった。

「あなたたちも、好きなことしなさいねえ」

 最後に亜哉子が姉妹に投げかけた言葉は、私たち視聴者にも投げかけられているように感じる。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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