小栗旬が『日本沈没』に掲げる思い 「避けては通れないテーマを今こそ考えるきっかけに」

 いよいよ10月10日よりスタートする日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)。原作は、1973年に刊行された小松左京の『日本沈没』。これまでも映画やアニメ、漫画など、その時代に沿った形で語り継がれてきた名作だ。

 そして世界的なパンデミックを経験した今、この作品はこれまでとはまた違った形で私たちのもとに届けられる。たとえ、どんなに厳しい危機に直面しても、未来に向かって立ち向かう“希望”を描くのだという気概がサブタイトルからも伝わってくるようだ。

 本作は、2023年の東京を舞台にオリジナルストーリーが展開される。未来の日本を見据えて各省庁から優秀な若手官僚を集めた“日本未来推進会議”メンバーが奮闘。その中心人物として描かれるのが、小栗旬演じる環境省の天海啓示だ。

 天海は自身の目的を達成するためなら強引な手段もいとわない野心家。そんな天海だからこそ、日本沈没という未曾有の危機にも怯むことなく、自ら考え、行動し、立ち向かっていく姿を見せてくれるのではないだろうかと期待が高まる。

 どんな状況でも諦めない――。そんな強い意志を持つ天海を演じる小栗旬は今、何を思うのか。この作品への参加を決めた理由、豪華なキャスト陣への印象、そして視聴者への願いを語ってくれた。

諦めずに進んでいく姿を見せていく

――本作に出演されるにあたり、どのようなことをお感じになられましたか?

小栗旬(以下、小栗):お話をいただいたのは、コロナ禍になるよりも前のことでした。とはいえ、震災から10年という節目の時期を迎え、天災は日本という国で生きていく限り避けられないテーマであると感じていたタイミングだったので、そのことをもう一度みんなで考えるきっかけをもたらす作品になればいいなと思って、お受けしたのを覚えています。ただ、そこから新型コロナウイルスという、それこそ未曾有の危機が現実に起こってしまい「今この作品をどう届けるのが良いか」ということを、ずっと模索しながら撮影してきました。

――今回「見出していく希望」というテーマについてはどのように思われましたか?

小栗:難しいですよね。日本が沈没するなんて大きな災害なんて、考えたくもない、怖いことです。けど、この国にいる限りはいつ来るかわからないものに対して、危機感や対策は持っていなければならないのも事実で。それがこの作品を通して、視聴者のみなさんにどう伝わっていくか、どう受け取っていただけるかというのはすごく不安はありますね。みなさんが何かしらの希望を持てるものになればと作ってきましたが、受け取る方それぞれの感情があるものなので、非常に難しいテーマだなと思います。

――これまで『日本沈没』は、様々な形で作品になってきましたが、今回オリジナルのストーリー、キャラクターとなった台本を読まれた感想はいかがでしたか?

小栗:お声がけいただいたとき、先に1話から10話までのロングプロットを読ませてもらったのですが、それが非常に面白くて出演を決めたという部分もありました。天海という人物は、環境省の官僚でありながら政治家に転身したいという野心家な部分はあるんですけれど、キャラクターとして「こういう人です」みたいに描かれている台本ではないんです。なので、「コレを特に意識して役作りをした」というのはないのですが、起こる問題が大きいものばかりなので諦めずに進んでいく姿を見せていくことを大切に演じました。

――日曜劇場への出演は『獣医ドリトル』以来、11年ぶりとなりますね。

小栗:そうですね。日曜劇場は、いつも熱いドラマをやっているというイメージがあります。実際に11年前にもがむしゃらにやっていた感じだったので。今回も、撮影期間も長くて大変ではありましたね。

関連記事