栄一と慶喜の関係性にリンクする草なぎ剛への尊敬

――明治編の見どころを教えてください。

吉沢：栄一は大人になったという気はするんです。ただ無邪気だった少年がこんなにも大人になってしまったかっていう寂しさを感じていただけるんじゃないかと思っていて。喜作（高良健吾）とは早くから道を違えたりしましたけど、周りとの関係性とか、残されていくものたちの哀愁と言いますか。栄一は最後まで生き延びた人っていうのが大きいと思うので、周りの人たちからいろんなものを受け継いでバトンをもらって。生き延びた人たちの寂しさみたいなものが伝わればいいなと思っています。

　今までは栄一が変人で周りを振り回していく感じだったんですけど、明治に入ってからは栄一が周りの“変人”に振り回されることが多いんですよね。それこそ、三野村（利左衛門）（イッセー尾形）さんは、「なんだこの人は？」っていう人で。でも、中でもやっぱり岩崎（弥太郎）（中村芝翫）さんとは強烈な出会いです。目指していたものや理想とする世界の形は栄一と一緒なのに、そこへのアプローチが全く真逆というか。岩崎さんは力を持っているものがどんどん前に進んで行くべきという考えで、栄一はみんなで進まなきゃ意味がないと真っ向から対立してるんです。

――岩崎弥太郎を演じる中村芝翫さんとは共演してみていかがでしたか？

吉沢：まだワンシーンしか一緒に演じてはいないのですが、歌舞伎役者さん特有の間、声の出し方、威圧感と只者じゃない感じが出ていてすごいですよ。お芝居が力強い方ですので、弥太郎の野心に満ち溢れている感じがぴったりだと思いました。

――栄一は千代（橋本愛）と家族としての時間を過ごすことになります。

吉沢：お千代は偉大ですよ。どんな時でも栄一の味方でいてくれる。一緒にお芝居をしていても、安心させてくれる母性みたいなものがあるんですよね。基本、お千代とのシーンは、栄一が喋ってることが多いんですけど、それを聞いてるお千代の表情を見ているとリラックスしてくるんです。

――明治に移ってからも栄一と慶喜との交流は続いていきます。

吉沢：慶喜は将軍になる前から栄一がずっと尊敬している人で、その任から外されて、ただの一般人になってからも尊敬している人に変わりはないんですよね。静岡に移り住んでからも何度も挨拶に行くし、そこの関係性は立場が違っても変わらないんだろうなという感じがします。栄一と慶喜の2人の線で描いてきた作品でもあるので、2人の関係性はものすごく大きなテーマで、今後も色濃く残っていくんじゃないかなと思っています。

――吉沢さんにとって草なぎさんはどのような存在ですか？

吉沢：この業界に入る前から見ていた大スターなので。ちょっと形が違うかもしれないけど、栄一の慶喜に対する尊敬と、吉沢亮が草なぎさんに感じている尊敬は、リンクしている部分があるかもしれないです。役者としていろんな作品を観させてもらってきたので、共演する前からすごい人だと思ってきました。そこへの憧れは今お芝居をしていても思うことで、その関係性が自然と出ればいいなと思いながら臨んでいます。

■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、毎週日曜20:00～放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00～放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00～放送
出演：吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作：大森美香
制作統括：菓子浩、福岡利武
演出：黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽：佐藤直紀
プロデューサー：板垣麻衣子
広報プロデューサー：藤原敬久
写真提供＝NHK