ディーン・フジオカ、“2回目”の五代友厚をいかに演じた? 吉沢亮との共闘を明かす
栄一は同じ志を持つ戦友
——明治編に突入してからの初の共演シーンはいかがでしたか?
ディーン:五代としては噂に聞いていた渋沢栄一という男についに会える、このメンバーで新しい日本を作っていくんだっていう希望に満ちたシーンだと思っています。そこで、お亮が「ここのセリフ、こういう風に言ってもいいですかね」って話しかけてきたのを覚えてるんですね。そういうのって演出の人がする話で、なかなか役者同士が直接することではない。ましてや彼がそういうことを話すのも見たことがないですし、自分も普段そういうことをしないんですよ。どういう気持ちで吉沢君が話しかけてきて、役者としての芝居プランをしだしたのか私は計り知れないですけど、そのことをすごく覚えてますね。初対面ということで、それくらいシーンに対しての熱量、向き合い方が、お互いにとってもそうですし、『青天を衝け』にとっても何かの始まりを予感させるようなシーンになっているんじゃないかと思っています。
——五代にとって栄一は志を共にする理解者という関係ですか?
ディーン:同じ志を持つ戦友というんですかね。一つの国家の命運を担っていく同志であり、五代の方が年齢が上で広い視野で経験を重ねてきたので、渋沢に伝えたり託したりできる部分も多かったんだと思うんです。
——栄一がいることで五代も頑張れるようなところも。
ディーン:大いにあったと思います。新しいことにチャレンジすることは、どれだけ確信を持っていたとしても難しいことだと思うんですね。いろんな困難を乗り越えていく時に、場所は違えど同じ時代の中で志を共にする仲間の頑張ってる姿は双方にとってのエールになっていたと思いますね。
——先日の取材で、吉沢さんが「ディーンさんに五代さんが染み付いている。五代さんでもあるし、ディーンさんでもある」とおっしゃっていました。ディーンさんの中で、五代友厚という役の距離感をどのように捉えていますか?
ディーン:まだそこまで客観視できてないのかもしれないです。自分にとって、五代友厚という人物との出会いはすごく大きなものでしたし、今も気づきを与えていただいているので、そういう意味では影響を受けているとは思うんですね。ただ、それがいち俳優として五代友厚という人物を演じるにおいてのシンクロ率をどうやって測るべきなのか、尺度を持ち合わせていないので。会ったことはないけど、恩人であり、恩義を感じる対象だなと思いますし、こういった形でもう一度俳優として演じる機会をいただけたのも見えない力で導かれているとしか思えないんです。彼の偉大な思想や生き様がより多くの人にインスピレーションを与えていたらいいなと思いますし、自分に何ができるのか、全力を尽くしていければという距離感ですかね。
——五代を演じての気づきというのは?
ディーン:五代の生き様を見て、後世に何を残すのかというのは常に感じる部分なんですよね。人間個人の幸せを追求した時に必ずしもプラスになるとは限らないけれど、それでも後世に対して何かを残すことを選んだというのが、自分の理解する五代の生き様で。それはその人が何を言ったかではなく、行動を追っていくと分かることだと思うんです。そこは胸打たれるものがありますね。
■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK