『ボクの殺意が恋をした』が迎えたハッピーエンド 中川大志×新木優子の恋の行方は?
「詩織さんにとっての、“正義”ってなんなんだよ」
『ボクの殺意が恋をした』(読売テレビ・日本テレビ系)最終話、「すべてSOS(※殺し屋組織)のためよ。あなたたちは、正義のために死ねるの」と言う詩織(水野美紀)に、柊(中川大志)がそう問いかけた。
やはり、詩織には息子がいたらしい。その子が5歳の時、16歳の少年に殺害されたことから、彼女の“正義”は歪み始めた。「人を殺してみたかった」と供述した少年は、「少年法」に守られ、大した罰を与えられなかったのだ。ぶつけどころのない苦しみを抱える詩織に目をつけた警察上層部は、SOSを束ねるよう声をかける。「法で裁けない悪人を暗殺する。これこそが、本当の正義」と。それから詩織は、SOSを私的に利用して、息子を殺した少年に復讐をし、その証拠を掴んだ葵(新木優子)の兄・武尊(小池徹平)を殺害した。
詩織の過去を聞いた柊は、大事なことに気が付く。彼女の姿が、丈一郎を失った時の自分に重なって見えたのだろう。
「復讐をして、仇を討つだとか、そんなの自分を正当化するだけの言い訳に過ぎなかったんだって。本当は、自分が弱いから。弱くて、悲しみを背負いきれないから。だからあんなバカな真似を……」
そして、詩織にこう問いかけるのだ。「ねえ詩織さん、その手で復讐してラクになった?悲しみは、少しでも癒えた?」。彼女にとっては、殺された息子の復讐を果たすことが“正義”だったのかもしれない。けれど、詩織の心についた大きな傷は、復讐を重ねるごとに、より深く刻み込まれていったはずだ。
「もう、やめようよ。1人で抱え込まないでよ」。柊に抱きしめられた詩織は、まるで子どものように泣きじゃくる。その姿を見て、確信した。詩織が求めていたのは、復讐を果たした時に浴びる返り血じゃない。自分が抱えている傷を、分かち合って、抱きしめてくれる人。そんな温もりがあれば、詩織のなかにある“正義”が歪むことはなかったのかもしれない。もしもあの時、SOSに勧誘する人ではなく、柊のような人間が側にいたら……と思うと切なくなる。