【ネタバレあり】『ボイスII』衝撃のラストシーン 増田貴久演じる透と樋口の絆を再確認

 『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)第7話は、またも衝撃のラストシーンを迎えた。小野田(大河内浩)殺害の容疑で追われる石川(増田貴久)、追う捜査一課長・重藤(藤本隆弘)。そして、石川の無実を信じ続けた樋口(唐沢寿明)、橘(真木よう子)。役者が揃った屋上で、小野田の死の真相が明らかになる。そのとき、全員が同じ方向を向き、同じ相手を敵とみなし、銃を向けた。ようやく、ようやくという瞬間だった。敵はひとりではなかったのかーー弾丸が石川の胸を貫いた。

 辞書によれば、絶望とは望みを失うこと、希望のないようすを指すそうだ。ならば樋口は、絶望しない男だ。過酷な現実に心折れることはあれど、仲間を信じ、最後まで希望を捨てない。ほとんど光も差し込まぬ暗く枯れた井戸を、満身創痍でよじ登るほどに。思えばあの姿こそ、まさに樋口彰吾である。

 そんな樋口に、白塗り野郎こと久遠(安藤政信)は絶望を味わせたい。だからこそ一度、喜びを与え気持ちを高める。たとえば、我が子・大樹(鳥越壮真)が目を覚ます。あるいは、信じ続けた相棒・石川ともう一度、心が通じ合う。ーーそうして、改めて落とすのだ。どれほど強い人間も「ここからだ」と勢いづいた瞬間、不意に転げ落ちれば痛い。高い場所から落ちたほうが、ダメージは強い。

 「自分が分からない」「人を殺したかもしれない」という想像を絶する恐怖を抱え、薬が切れた身体を引きずってでも石川が身を隠した理由は、真実を探るためだった。一方で「誰にも信じてもらえないかもしれない」という想いもあっただろう。

 けれど樋口は、石川を一瞬たりとも疑わなかった。石川の気持ちを想像すれば、信じられれば信じられるほど「もしも」が怖くなるはずだ。けれどその「もしも」さえ、樋口にはあり得ない話。石川の弱さを、弱いからこその優しさを、正義感を、樋口は誰よりも知っていた。だからこそ、疑う余地などなかった。「透はやってない」、その裏付けを探す作業と、透を見つけ出すこと、それが樋口の最優先事項だった。

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