ゴールデンボンバー・歌広場淳も虜に 『刃牙はBL』“人と違う”松本穂香の魅力

「“人と違う”松本穂香さんが魅力的に見えているのがいい」

ーー世間一般的にはニッチなものの見方というか、「こんな捉え方をするの!?」という驚きのある作品かもしれませんが、それをドラマとして丁寧に届ける、ということについては、あらためてどう思いますか?

歌広場:それはもう、ジャンジャンやってほしいですね。前編でも言ったように、それは対象となる作品、今回の場合は『刃牙』シリーズが持つ豊かさを伝えるということですから。注目を集めるために奇をてらった見方をしているとか、作品が本来持つ面白さを無視しているとか、そんなことはまったくなく、誰よりも真剣に向き合って楽しんでいるのが、原案となる本を書いたカネジュン先生なので。そもそも「『刃牙』はBL」というのは、ニッチな見方なのか、と考えてしまうところもあって、「闘うことしかできない男たちが闘う」ということ自体が、愛情表現だと皆さんも思いませんか? と、僕も思います(笑)。

ーー確かに、より強い存在に恋い焦がれるという描写も多いですし、『『グラップラー刃牙』はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ』を読むと、なおさらそうにしか見えなくなります。

歌広場:闘うことを「ヤる」とか「食う」と、言葉としても常に性愛のように表現していますしね。僕はこれがストレートな見方だと思っていますし、本当に『刃牙』が好きで読み込んでいたら、BLに関心がなくても「わかるッッ!」となっておかしくないのではと。もしかしたら、BLという文脈で「自分が好きなキャラクターをおもちゃにされた」と感じた経験がある人は、その言葉自体に不快感を覚えてしまうのかもしれませんが、カネジュン先生は本当にモラルの高い方で、キャラクターを愛情なしに扱うようなことは決してされないので、安心してもらいたいです。むしろ「愚地克巳(※世界最大のフルコンタクト空手団体「神心会」の総帥であり、“武神”と称えられる愚地独歩の養子。かつては天才ゆえの甘さがあったが、いまや作中でも有数の強者として覚醒している)とこれほど真正面から向き合っている人はいない」と思うくらい。偏見を持たず、キャラクターや物語を直視した結果、BLという見方にたどり着いていることは、ドラマでも表現されていますね。

ーー「BL好き」の人たち、あるいは「ニッチだ」と言われる趣味を持っている人たちが、本来、その対象に真剣に向き合っている愛すべき人たちなんだ、ということが、このドラマを通じて伝わるといいですね。

歌広場:そう思います。「ものの捉え方が人と違うのは素晴らしい」とか「個性が大事だ」って、みんな言うじゃないですか。僕自身、「“みんな違って、みんないい”と言うのに、なんで人と違うことを言うと怒るの?」と思ってしまうことも少なくないなかで、このドラマでは単純に、“人と違う”松本穂香さんが魅力的に見えているのがいいですよね。

ーーそうですね。妄想を炸裂させる面白い人であっても、うがった目で物事を眺める変な人、というイメージはわきません。

歌広場:そうなんですよ。仕事もきちんとしていて、俗に言う一般社会と、自分だけの世界(自分の部屋)という、別の惑星を行ったり来たりしている様子がとても魅力的です。

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