上白石萌歌、沖田修一監督と蕎麦の話? 『子供はわかってあげない』オーディション秘話
映画『子供はわかってあげない』のテアトル新宿先行公開記念舞台挨拶が8月14日に行われ、主演を務める上白石萌歌と細田佳央太、斉藤由貴、沖田修一監督が浴衣姿で登壇した。
8月20日から全国公開される本作。原作は田島列島の長編デビュー作の同名コミック。第24回手塚治虫文化賞・新生賞を受賞したほか、「マンガ大賞 2015」で2位と、数々の漫画賞を受賞した人気作だ。
主人公・美波役を務めた上白石は「本日はお足元の悪いなか起こしくださり本当にありがとうございます」と挨拶。美波と“甘酸っぱすぎる”初恋をするもじくん役を演じた細田も、「書道部のもじくんを演じました細田佳央太です。今日はありがとうございます。すごい……いま言おうとしたことを萌歌ちゃんに全部言われてしまったんですけど(笑)」と笑いを誘い、「みなさん観終わったあとなので何も余計なことを考えずお話できればと思います」と微笑んだ。
美波の母親役を演じた斉藤は、「なかなか外出もままならない昨今ですけど、爽やかな気持ちを感じていただけてるのではないかと思います」と温かい言葉を寄せ、また、監督を務めた沖田も、「出演者みんなでこの場に立ててすごい嬉しいです」と、「お客さんに観てもらえる日を心待ちにしていた」と公開の喜びを噛みしめた。
沖田監督の作品に出演するのが夢だったという上白石。今回はオーディションで選ばれたと言い、「オーディションで沖田さんを前にお芝居をするってなると緊張してしまって、生の沖田監督だ!って」と初対面での印象を語ると、「そんなにいいものじゃないですよ(笑)」と沖田監督。
2~3回のオーディションの中では、好きな食べ物である蕎麦や水泳、好きな映画の話をしたと明かした。上白石は「2度目にお会いしたときは台本の一部をいただいてお芝居をさせていただいたんですけど、これが沖田監督の言葉だ! この言葉を口にできるのが本当に幸せだなっていうのを噛みしめながらオーディションを受けた記憶があります」と喜びをあらわわにすると、沖田監督も「会って、この映画を大事にしてくれる人に会いたかったっていうか、大事に演じてくれそうな人にやってもらいたいなって思って。わざわざ呼んで蕎麦の話して(笑)」と微笑ましいエピソードを披露した。
もじくんを演じた細田は、脚本を初めて読んだときについて「原作にもあったやさしさや柔らかさを脚本を初めて読んだときに感じました。そこは最低限大事にしなきゃなっていう風に思いました」と語った。演じる上でこだわった点について、「こだわりどころじゃなかったんですけども」と前置きし、撮影前のリハーサル期間に「もじくんらしさは台本のセリフに散りばめてるから、細田くんらしくやってほしい」と沖田監督の言葉を挙げた。
細田は「自分らしくってなんだろうみたいな。柔らかさやかわいさは本の中から読み取りつつも、自分ってかわいいの?って、そういうような変な自問自答してしまった」と明かし、「気を付けたことがあるとすれば、力を抜くとかですかね(笑)」とはにかんだ。
原作者の田島が、終盤に登場する美波と母親・由起役(斉藤)のシーンを観て感動して泣きそうになるほど絶賛したというエピソードが伝えられると、斉藤は「私もあのシーンの撮影のときに泣きたくなったのを鮮明に覚えている」と回顧。続けて「美波がというよりも、美波を演じる萌歌ちゃんの空気感というか、萌歌ちゃんから生まれ出ずる感情みたいなものがものすごく心に染みてきたから」と上白石の演技を讃えると、「娘と母親の見えない糸みたいなものを感じながらお芝居していた」と上白石。沖田監督も「僕も編集して、何度も泣きそうになった」と、思い出に残る場面だったようだ。