元妻との裁判の進捗、生涯功労賞を巡るトラブル ジョニー・デップにいま何が起きている?
サンセバスティアン国際映画祭で功労賞受賞へ
その一方、ジョニー・デップの俳優としてのキャリアを称える動きもある。8月9日、スペインで開催されるサンセバスティアン国際映画祭で、彼が最高賞である生涯功労賞(ドノスティア賞)を受賞することが発表された。この賞は、これまでにイギリスの女優ジュディ・デンチや是枝裕和監督らが受賞している名誉あるもの。映画祭は9月17日に開幕し、22日に受賞式典が開催される予定で、デップはもちろんこの賞を受け入れる意向だ。しかしAP通信によれば、この決定にスペインの女性映画監督たちから非難の声があがっているという(出典:Female filmmakers denounce Spanish cinema prize for Depp)。スペイン女性映画監督組合代表のクリスティーナ・アンドルーは、この件について「映画祭の評判とリーダーシップを傷つけるもの」とし、「“良い俳優であれば、誰かを虐待しても構わない”という誤ったメッセージを発信することになる」と語っている。これに対し映画祭のディレクターであるホセ・ルイス・レボルディノスは、「彼は逮捕されたわけでも、起訴されたわけでも、有罪判決を受けたわけでもない」と擁護した(出典:San Sebastian Fest Director Defends Johnny Depp Honorary Prize: “He Has Not Been Arrested, Charged Nor Convicted”)。
ティム・バートンやテリー・ギリアムなど、個性派監督の世界観を具現化し、俳優として順風満帆なキャリアを築いてきたジョニー・デップ。いったい彼は、今後どうなっていくのだろう。またこれは、彼だけの問題に留まらない。俳優やクリエイターが私生活で問題を起こした場合、彼らが関わった作品の価値は下がってしまうのだろうか。近年は#MeToo運動の影響や、ポリティカル・コレクトネスを重視する風潮が高まり、これまでなら問題にならなかったことが大きな波紋を広げるようになっている。作品の価値と、それに携わったキャストやスタッフの人間性は、切り離すべきなのか。それを考えるために、ジョニー・デップや彼を取り巻くさまざまな事態は注視していく必要があるかもしれない。
■公開情報
『MINAMATA―ミナマタ―』
9月23日(木・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:アンドリュー・レヴィタス
脚本:デヴィッド・ケスラー
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、キャサリン・ジェンキンス、 ビル・ナイ
音楽:坂本龍一
提供:ニューセレクト株式会社、カルチュア・パブリッシャーズ、ロングライド
配給:ロングライド、アルバトロス・フィルム
アメリカ/115分
(c)2020 MINAMATA FILM, LLC (c)Larry Horricks
公式サイト:longride.jp/minamata/