西島秀俊演じる朝岡の意外な過去が明らかに 『おかえりモネ』が描く“自分本位”の意義

 気象予報士が報道の場でこれまで行ってきたマスメディアに対し、台風の一件で朝岡は百音の持つ、そこで生活したことがある人にしか出せない指示の価値を実感。今後情報が再分化する中で、個人に特化するような情報の価値が高まっていくことを肌で感じた。百音に影響を与え続けた朝岡もまた、彼女から影響を受けているという関係性が興味深い。

 そんな彼がなぜ、キャスターは辞めてもよくてスポーツ気象はやりたいと思ったのか。それは彼自身が大学生時代に駅伝選手として名を馳せ、鮫島と同じようなコンディションの理由で棄権した経験があったからだ。「風の神」とまで呼ばれ、50年も勝利の歴史を刻んできた学校の命運を握る走者として期待されていた彼は、気象情報の読みが外れたことで敗退してしまった。だから、あの時と同じ気持ちを抱える鮫島を、“自分のリベンジのため”に全力でサポートしたいのだ。ここでも、百音は大義の裏にある動機がひどく私的なものだったことを知る。こうやって周りが自分のために動く様子を見ていくことは、百音にとってもっといい意味で自分本位になれる助けになるかもしれない。

 ただ、もう一人今心配したいのは、百音の妹の未知(蒔田彩珠)だ。彼女も仕事で結果が出せずに焦っていた最中、百音の台風での活躍っぷりをみて、より自分と比べてしまっているタイミング。そんな時に、片想いの相手、亮(永瀬廉)が自分には話さないことを百音には話していることを知って、ショックを受ける。そこでも、姉には勝てないのか、と。「ずるい」とさえ言い、その言葉が今度は百音にショックを与える。未知は百音がつい先週まで、彼女と同じように仕事で結果を出そうと空回りして、たくさん悩んだことを知らない。遠距離になった分、お互いのコミュニケーションがうまく弾まず、誤解した印象のまま姉妹の関係が進んでいるのかもしれない。当たってしまったことを謝るが、百音の「そういうのじゃない」という言葉が余計、未知の心を締め付けることになってしまった。仕事も恋もうまくいかない。切ない、切なすぎる。今週中にでも、永浦姉妹それぞれに立ち込めた暗雲が晴れることを、願ってやまない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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