賀来賢人が語る、“医療ドラマ”に挑む意義 「知ってもらえるだけでも何かが変わる」

“スパイ=悪者”ではない音羽のポジション

ーー医療シーンの撮影はいかがですか?

賀来:命を扱う作品で、今回は特に医療従事者の方たちの全面バックアップで作っているので、本当に嘘なくやろうという意思が『TOKYO MER』チームみんなの中にあって。監督がOKを出しても、医療監修の先生がOKを出さないこともあるくらい、そこはしっかり撮っています。マスクをしているときは、目で表現をしなければいけないので、患者さんを診るときに一番始めにどこに目がいって、次にどこを触るかという段取りまで細かく決めています。だから、普通の芝居のシーンがラクに感じます。やっぱり、医療シーンが一番緊張しますし、突き詰めてやっている実感はありますね。

ーー演じる音羽についてはどんな印象を持っていますか?

賀来:彼は医者であり、厚生労働省の官僚で、とても複雑なポジションにいるんですよね。医療体制を改革して利益をもたらしたいという考えを持っているのですが、医療現場の最前線で目の前の命を救っている人を見て、「こういうあり方もある意味正しい」とも思う。その狭間で戦っているんです。音羽自身が選んだ道だけど、演じていて、苦しくて可哀想だなって思っています。

ーーMER側からすると、いわゆるスパイみたいな存在ですよね。演じる上で、その難しさはありますか?

賀来:厚生労働省が言っている「日本の医療を改革する」ことと、MERの「無茶だけどとにかく目の前の命を助ける」という意識はどっちも正論で。どっちが正解、不正解ではなくて、スパイ=悪者という表現ではなく、どちらも正論に見えるような作り方をしたいというのは、亮平くんと話し合いました。

ーーERカーの印象はいかがでしたか?

賀来:担架がドッキングできたり、実際に使えるように作られていて、リアリティを感じられるのですごく助かってます。でも、毎回ERカーから飛び降りなきゃいけないので、そのたびに膝をちょっとずつ痛めています(笑)。

ーー初の医師役で事前に準備したことや、苦労していることはありますか?

賀来:用語や基本的な所作の部分は苦戦中です。先生方に聞きながらベースを作って、所作的なものは、なるべくうまく見えるように練習したり、亮平くんに教えてもらったりしています。この前、亮平くんから「次撮るシーンで、この手術を僕たちはやるんだけど、その動画が見つかったから共有しておくね」と言われて。数日後、身体の中身が映っている動画がLINEで送られてきたのですが、僕は、ちょうど食事中で、その時はすぐに閉じました。亮平くんはそういうのを見ても、もうなんとも思わないらしいです(笑)。

ーー賀来さんは抵抗を覚えながらも頑張って練習している(笑)?

賀来:そうですね。頑張ってそういう動画を見ながら、身体の仕組みとかは学んでいます。

ーー本作は喜多見や音羽が人々を救うために奔走するドラマですが、賀来さんが俳優業をしている中で、救われた存在のようなものがあれば教えてください。

賀来:お世話になった演出家や先輩方からたくさんいい言葉をいただいて、何度か辞めようと思っていたときに、「もっと頑張れ」「いつか日の目を浴びるときがくるよ」という言葉をかけてもらった思い出があります。そういう出会いには感謝していますし、いつか絶対恩返ししなきゃいけないなと、常にそういう思いは持っています。

ーー作品的には、命と向きあうような、考えさせられるような作品だと思います。賀来さんご自身が、本作に携わって得た新しい気づきはありますか?

賀来:医療従事者や救急隊の方々が、初めて会った人を命がけで助けるモチベーション、その向き合い方をとにかく尊敬しました。ドラマではものすごく熱く、助けることを描きますが、実際は、とっさに命の選別をしなければいけないと医師の先生がおっしゃっていて。この人はダメだから次にいこう、と。その冷静な判断を、コンマ何秒でしなければいけないし、その決断自体、1人の人間がするにはとても酷だと思います。そのメンタルの中、最小限のリスクで多くの人の命を救うということを当たり前のように毎日やっている方々が世の中にいることを知れただけで、ものすごく価値観が変わりました。ドラマを通して、こういう人たちがいることを視聴者の方々に知ってもらえるだけでも、何かが変わるかなと思っています。

■放送情報
日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、要潤、小手伸也、 佐野勇斗、佐藤栞里、フォンチー、佐藤寛太、菜々緒、鶴見辰吾、橋本さとし、渡辺真起子、仲里依紗、石田ゆり子
脚本:黒岩勉
プロデューサー:武藤淳、渡辺良介、八木亜未
演出:松木彩、平野俊一
製作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TokyoMER_tbs/
公式Twitter:@tokyo_mer_tbs

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