『おかえりモネ』百音と菅波の2ショット写真は未来の暗示? 大人になることを描いた第6週

 人はいつ大人になるのか、大人になるとはどういうことなのか。そんな疑問に今週の『おかえりモネ』はそっと答えてくれた。きっとどんなに立派に思える大人たちも、きっと子供と中身はそんなに変わらない。ただ一つ違うとすれば、自分の“ふがいなさ”を知っているということだろう。サヤカも、森林組合の先輩や職人さんたちも、耕治も、みんな自分ができる限界を知っている。己のふがいなさに打ちのめされる時もきっとあるだろう。それでも大人たちの日々は忙しく過ぎていくから、止まっていられない。だから技術や力を証明してくれる資格を取ったり、誰かと話したりしてなんとか前に進んでいく。

 震災のあの日、“何もできなかった”という後悔を背負った百音や、若き医師として命に向き合ってきた菅波は他の人よりも少し駆け足で大人にならざるを得なかった。けれどきっとまだまだ守られるべき存在で、そんな彼らの背中をポンと叩いて落ち着かせてくれるような大人たちの優しい眼差しが印象的だ。かつての亜哉子のように、不器用で誤解されがちな菅波の根っこにある優しさを肯定した百音。菅波と百音の2ショット写真越しに映る亜哉子と耕治の姿は、これから守られる側から守る側へと成長していく彼らの未来を物語っているようだった。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。

※塚本晋也の「塚」は旧字体が正式表記。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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