中村蒼、30代はネガティブを卒業? 『ネメシス』で共演、江口洋介の言葉で気づいたこと
『エール』での経験は「すごく大きな自信に」
ーー中村さんはこれまでも『エール』(NHK総合)での村野鉄男役や『HiGH&LOW THE MOVIE 2 /END OF SKY』の林蘭丸役などワイルドな役を演じることが多い印象です。
中村:『HiGH&LOW THE MOVIE 2 /END OF SKY』だと、役柄や人間味だけでなく、観ている人に食いついてもらえるアクションや画力も求められていたと思います。ただ、演じる側としてはちゃんとその人の人間らしい部分も忘れずにお芝居することを意識してやっていました。それは今回の『ネメシス』もそうです。具体的なユージの性格については脚本では詳細には描かれていません。それでも、自分としてはちゃんとキャラクターとして成立するように、ユージの素のようなものも表現できたらいいなと思いながら演じていました。『エール』は1年通して、長くいろんな人の人生のスポットを当てる作品でもあったので、その2つとはまた違うかもしれません。
ーー『エール』での1年を通した撮影の経験はやはり大きかったですか?
中村:そうですね。すごく貴重な経験でした。いろんなことがありましたけれど、そんな壁をスタッフの皆さんキャストの方々と乗り越えられたということが、『ネメシス』然り、その後の仕事をやっていく上ですごく大きな自信になっています。あとは紅白に出させていただいこともあって、地元の家族が喜んでくれたのも嬉しかったですね(笑)。
ーー演技への考え方の変化も?
中村:先ほどの勝地さんのお話でも少し言いましたが、僕は役に入ってお芝居をしていても、別の脳みそでどこか計算しながらお芝居をしているんです。だから、「役に入る」ってどういうことなんだろうというのは最近考えていることです。今は、役が50%、自分が50%のイメージが理想だと思っています。せっかく自分を呼んでくださっているので、どこか自分らしさもその役に乗せて演じたいですね。人間は本当にいろんな面があると思うので、役・キャラクターだからといって、その人を決めつけるのではなく、ちょっと意外な面を一瞬でも出していけたら嬉しいです。『ネメシス』でもそうでしたし、これからもそこは変わらずやっていきたいです。
ーー中村さんが思う“中村蒼らしさ”とは?
中村:質問の答えになっているかは分からないですし、自分で言うのもなんですが(笑)、僕としてはこの仕事を始める前の、地元にいた頃の自分と今もあまり変わっていないんです。そういう普通の感覚が自分らしさでもあるのかなと。俳優という職業は、それまで持っていた普通の感覚が、気付いたらなくなってしまう仕事だと思うんです。自分が演じる役で共感してもらえたり、勇気をもらったりしてくれたら嬉しいですし、そのためにはそういう普通の感覚は必要だと考えています。
ーーたしかに『ネメシス』でも、どこか中村さんらしさを感じます。
中村:これは少し余談かもしれないですが、『ネメシス』の現場で江口(洋介)さんとご一緒させていただいているときに、僕が江口さんの過去の作品の話をしてもご本人は「そんな感じだったっけ? 忘れちゃったよ。『ネメシス』やってる今が一番楽しいよ」とおっしゃっていて。自分もそんなふうにずっとお芝居を楽しめたらいいなと思って、よく覚えています。
ーー江口さんならではの言葉ですね。
中村:そうですね。「昔はよかった」ではなく、今だからこそできる楽しさをちゃんと感じていたいです。役作りの話から少し逸れてしまいましたが、とにかく自分の価値観を決めつけすぎず、常に江口さんのように柔らかくありたいです。
ーー中村さんは今年、30歳を迎えました。数が全てではないですが、今後演じる役柄もより広がっていくのではと思います。
中村:僕は不安だったり緊張だったり、そういうネガティブなことばかり考えてしまう性格なのですが、ずっといろんなことに挑戦していきたいですね。年を重ねれば重ねるほど新しいものに挑戦するのが難しくなる気もするのですが、恐れることなく、やったことのないことでもちゃんと飛び込んでいく姿勢は持ち続けたいです。
ーー最終回が間近に控えている『ネメシス』ですが、注目ポイントは?
中村:第9話と第10話が繋がっているんです。第9話からこれまでのメンバーが全員集まって総力戦を繰り広げていくので、今まで観てきた方はもちろん、そうじゃない方も楽しめると思います。タカとユージだからこそできる、警察のシステムに潜り込むシーンだったり、アクションもあるので、そこも観ていただけたら嬉しいです。
■放送情報
4月期日曜ドラマ 『ネメシス』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~23:25放送
出演:広瀬すず、櫻井翔、勝地涼、中村蒼、富田望生、三島あよな、山﨑紘菜、橋本環奈、
大島優子、上田竜也、石黒賢、真木よう子、仲村トオル、江口洋介
総監督:入江悠(1・2・3・6・8・9・10話担当)
監督:片桐健滋(『きのう何食べた?』『ルームロンダリング』)(4・5話担当)、岸塚祐季(7話担当)
脚本:片岡翔、入江悠
脚本協力: 講談社タイガ、今村昌弘(『屍人荘の殺人』)(1・3話担当)、藤石波矢(『今からあなたを脅迫します』)(2・6話担当)、周木律(『眼球堂の殺人』)(4話担当)、降田天(『女王はかえらない』)(5話担当)、青崎有吾(『体育館の殺人』)(7話担当)
企画・プロデューサー: 北島直明
プロデューサー:里吉優也、次屋尚、田端綾子
制作会社:クレデウス
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:www.ntv.co.jp/nemesis
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