視聴率だけでは評価できない傑作ドラマ 『まめ夫』『コントが始まる』に視聴者がアツくなる3つの共通点

 今期のドラマ、豊作としか言いようがない。キュン満載のラブストーリーから、法律ものや入れ替わりもの、シリーズ展開している警察ドラマに加え、結婚生活にフォーカスを置いたコメディ、ソロ活や父と娘の関係を丁寧に描くヒューマンストーリー、受験サバイバルとじつに彩り豊かだ。

 そんな中、先日発表された最新の「ドラマ満足度ランキング」(オリコン・5月4日~10日放送作品対象)において2週連続で1位を獲得したのが『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)。2位は『イチケイのカラス』(フジテレビ系)、3位が『コントが始まる』(日本テレビ系)という結果。

 が、この「ドラマ満足度ランキング」の順位と視聴率とがリンクしていないドラマが2作ある。ひとつは満足度1位の『大豆田とわ子と三人の元夫』(以下、まめ夫)。第6話の視聴率は5.5%と、前週から0.7%も数字を落とした。そしてもうひとつが『コントが始まる』。こちらは第6話の視聴率が6.5%。ストーリー展開にネガティブな意見も多い同局の『恋はDeepに』より1%以上低い(ビデオリサーチ社調べ)。

 「ドラマ満足度ランキング」が示す通り、『まめ夫』も『コントが始まる』もSNSへの書き込み数は非常に多く、時間帯によってはTwitterのトレンドにも名を連ねる。ではなぜそのアツさが視聴率に結びつかないのか。2作の共通項を挙げながらその理由を考えていきたい。

(1)3対1の非恋愛性関係

『大豆田とわ子と三人の元夫』(c)カンテレ

 『まめ夫』で描かれるのは、注文住宅の施工会社社長・大豆田とわ子(松たか子)と離婚した3人の元夫たち(松田龍平、角田晃広、岡田将生)の不思議な関係。元夫たちにはそれぞれ何となく気になる存在が他にいて、とわ子も4回目の結婚を匂わせたりする。とわ子と元夫たちは互いを憎んでいるわけでも、相手を欲する感情が強く残っているわけでもない。彼らを見ていて感じるのは、家族とも友人とも違う感情の上に成り立つ不可思議でほんの少し通常より温度の高い関係性だ。

 『コントが始まる』では30歳を前にした3人組のコントグループ「マクベス」(菅田将暉、仲野太賀、神木隆之介)を軸に、まったく売れる気配のない彼らをとてつもない熱量で追い続ける中浜(有村架純)の物語が並行して展開する。ここでおもしろいのは、あくまで中浜は「マクベス」のファン……というか超絶濃いオタクであるものの、ガチ恋勢ではないところ。「マクベス」メンバーの5年以上前のインタビュー記事や過去のブログは探し出し、彼らの住むアパートの隣のマンションに暮らしているにもかかわらず、恋愛方面に持っていく気配はゼロである。

 両作とも、ドラマが生まれやすい1対1、もしくは2対1の構造でなく、あえて3対1にした意図のひとつが「非恋愛」のストーリーを成立させることだと考える。

(2)過去作で共演した2人が芯

『コントが始まる』(c)日本テレビ

 『まめ夫』でとわ子を演じる松たか子と最初の夫・田中八作役の松田龍平は、2017年の『カルテット』(TBS系)でも共演。この時は過去を背負ったヴァイオリン奏者・巻(早乙女)真紀と、彼女に恋をする同じくヴァイオリン奏者の別府司という間柄だった。

 『コントが始まる』「マクベス」のメンバー・高岩春斗役の菅田将暉と、「マクベス」の熱烈オタク・中浜里穂子を演じる有村架純は、2021年公開の映画『花束みたいな恋をした』で恋人役として共演。ひょんな出会いから始まり、同棲中にすれ違い、別々の道を行く山音麦と八谷絹を演じている。

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