『コントが始まる』の根底に漂う“孤独” 仲野太賀×芳根京子は『プロポーズ大作戦』を彷彿
マクベスは本当に解散してしまうんだな、と何度も実感させられる『コントが始まる』(日本テレビ系)第6話。
里穂子(有村架純)の要望でマクベス結成の聖地・ポンペイに訪れた一同。どことなくマクベスの3人が明るく見えるのは、空元気なのか、「卒業式前の高揚感と一緒」(第5話での潤平のセリフ)だからなのか。どちらにしろ、意を決したものたちの振り返りとして「始まりの地への回帰」があるような気がして、マクベスのまま前に進むことはないんだと改めて感じさせる場面だ。そこで恩師の真壁先生(鈴木浩介)にも解散することを報告。「10年間、周りの雑音に流されることなく、愚直に夢を追い続けたお前らのほうが、ずっとずっとえらいし、ずっとずっとすげぇんだからな」。そんな先生からの激励を噛みしめながら、春斗(菅田将暉)、潤平(仲野太賀)、瞬太(神木隆之介)の3人は解散後の人生を見据え出す。
潤平は奈津美(芳根京子)との結婚を考えてか、酒屋である実家を継ぐ覚悟を決める。しかし姉(木村文乃)からは「(彼女が)酒屋を継いだあんたと一緒にいたいと思ってるの?」と問われ、奈津美を笑わせるために芸人を始めた以上、その終わりとともに関係もフェードアウトしていくのが筋かもしれないと不安感を抱え出す。本当にそうなのだろうか? 潤平が笑わせてくれるから奈津美は付き合うことを決めたのか。いやそうじゃない、とここで彼らのすれ違う仲を取り持つのが、策士・春斗の途方もない優しさである。
同じ金子茂樹脚本のドラマ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)の濱田岳と榮倉奈々の雰囲気を彷彿とさせる、高校時代の潤平から奈津美へ向けられた愚直な愛情表現。それは変わらぬ純度を保ったまま、10年を経た今も存在している。その「変わらないこと」の素晴らしさをこそ春斗は見出そうとした。変わらないことは愚かであるかもしれない。社会に揉まれ成熟していく奈津美と潤平の間では、どうしても溝ができてしまったかもしれない。しかし春斗は、潤平の「変わらなさ」を、奈津美を笑わせるための「あえて」だと言う。そんなことができる人は、潤平しかいないのだと。「潤平がこの10年間変わらずに信じ続けたものを、ひとつでも成就させてやりたかった」。それが春斗の、マクベスの10年を肯定する祈りでもあった。