『コントが始まる』では自在の“温度差”で魅了 仲野太賀の演技は共演者にも影響を与える

 すべての作品に共通するわけではないが、キャラクターが立っている役を仲野が演じるとき、その個性はいかんなく発揮されるものの、決して物語のなかで異質な存在感ではなく、作品のトーンを逸脱しない。強烈なキャラクターで目を引くが、周囲の登場人物もしっかり引き立てる役割を果たす。

 『コントが始まる』でも、美濃輪のキャラクターはもちろん、高岩と朝吹を演じる菅田と神木がとてもイキイキとして楽しそうに映っているのは、仲野の演技が大きな影響を与えているといえるだろう。

『コントが始まる』(c)日本テレビ

 以前、菅田が監督を務めたショートフィルム『クローバー』の特別上映会で、主演に抜擢した仲野について「俳優として同世代で一番好き」と熱烈なラブコールを送っていたが、『今日から俺は!!』のほか数作品で仲野とタッグを組んでいる矢本悠馬も、仲野に対して「安心感しかない。不安要素がなにもない」と絶大なる信頼を置いていた。こうした俳優としての信頼感も、共演者の芝居の魅力を引き出す大きな要因だと言える。

 また矢本は仲野の強みを「芝居にすべてを捧げられる人」と表現していた。この言葉通り、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2016年)や『泣く子はいねぇが』(2020年)など、じっくりと深く内面に向き合う作品から、上述したようなキャラクターの強い青年、さらに連続ドラマ『この恋あたためますか』(2020年、TBS系)では、恋に悩む等身大の青年を好演するなど、その変幻自在ぶりは観ていて楽しい。

『コントが始まる』(c)日本テレビ

 硬軟自在という言葉では表現しきれないほど、さまざまな引き出しを持つ仲野。演技力や芝居オタク(矢本談)というほど俳優業に向き合う姿勢で共演者を魅了し、作品で視聴者を虜にする……仲野の勢いはますます増していくことは間違いないだろう。

※参考
太賀は芝居オタク、矢本悠馬は欲まみれの俳優?仲の良い二人の爆笑トーク | ORICON NEWS:https://www.oricon.co.jp/special/50381/
仲野太賀&矢本悠馬『今日俺』今井&谷川の人気に疑いの目!?|シネマトゥデイ:https://www.cinematoday.jp/news/N0117589

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■放送情報
『コントが始まる』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介
脚本:金子茂樹
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE/Warner Music Japan)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
公式Twitter:@conpaji_ntv

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