『ドラゴン桜』鈴鹿央士と東大専科が対決 「バカとブスこそ東大に行け」に込められた真意

 「バカとブスこそ東大に行け!」。伝説の受験ドラマの代名詞となったセリフが、16年の時を経て響きわたる。受験テクニックを伝授するドラマという先入観を鮮やかに裏切った『ドラゴン桜』(TBS系)第1話と第2話に続いて、第3話ではタイトルになった桜の木が登場。歩調を合わせるように桜木(阿部寛)の東大専科が本格始動した。

 楓(平手友梨奈)と天野(加藤清史郎)、菜緒(南沙良)に瀬戸(高橋海人)も加わった東大専科。噂を聞きつけて、理系トップの藤井(鈴鹿央士)が様子を見に来る。一方、東大合格者が5人出たら辞任しなければならない理事長の久美子(江口のりこ)は、専科潰しのために難関大コースを新設し、藤井を引き入れる。東大専科と難関大コースは互いの存続を賭けて対決。3週間という限られた時間で、楓たちは藤井を上回ることができるのか? 勝負の行方に注目が集まった。

 落ちこぼれが秀才に挑むと聞いただけで興味をくすぐられるが、チャレンジャーの4人は輪をかけて勉強ができない設定。桜木と水野(長澤まさみ)は彼らに中学の教材を手渡す。基礎からやり直せというわけだ。全教科、3週間で最低5周。さらに天野と瀬戸にはYouTuberとして1日1動画を公開、楓と菜緒にTwitterで1日20ツイートを義務付ける。徹底した反復練習と2021年ならではの情報発信。一見、関連性がない両者には明確な狙いがあった。

 熱血教師・桜木の暴走ぶりに違和感を覚えていた視聴者は、ようやく始まった具体的な受験指導にほっと胸を撫で下ろしたに違いない。これが見たかったという安堵とともに、序盤の2話は何だったのかという思いも去来する。異例のブランクを経た続編のドラマ化には様々なハードルがあったはずだ。平成という時代の産物だった前作を現代に蘇らせる意味。前作から今まで桜木は何をしていたのか、また何が変わったのか? それらの疑問に回答を与え、数々の名作を送り出した日曜劇場にふさわしい姿で『ドラゴン桜』を立ち上げること。結果として、学園ドラマの枠を軽々と飛び越える圧倒的な熱量とメッセージの詰まった放送回になったことはご覧のとおりである。むしろここからが本番であり、前作との違いは3話以降で明らかになると考える。

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