ザック・スナイダー、『スター・ウォーズ』映画を作りたい 「でも僕には難しそう」
新作となるNetflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』の配信が5月21日に迫るなか、監督のザック・スナイダーがTimes誌のプロモーションインタビューで『スター・ウォーズ』のプロジェクトに参加したいという旨を話したことが話題になっている。しかし、意欲はあれど自分には役不足かもしれないと及び腰だ。ザック・スナイダーといえば、例の『ジャスティス・リーグ』をはじめ、『ウォッチメン』『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』などビッグバジェットの大作を数多く手がけてきた監督でもある。経験こそ豊富な彼にとって、なぜ『スター・ウォーズ』などのフランチャイズ作品が難しいのか、自身や他の映画制作者における監督性をふまえながら以下のように語った。
「難しいと思うのは、個人の視点を持つ監督を、その視点が求められていないプロジェクトに参加してもらうことです。“冒険をしてきたような”個人の色をもつフィルムメイカー、と言えばいいでしょうか。彼らはたくさんいますし、みんな素晴らしい。僕はたまたま、自分なりの細かい視点を持っている監督です。そんな僕が学んだことは、自分にとって、そして多くのフィルムメイカーにとって簡単なのが、人々を自分たちの世界に招くことです。その反対が、『私を歯車としてあなたの車輪に入れてください』というような事態です。僕は『スター・ウォーズ』の映画をとても作りたい。大ファンだから知識もある。それでもそれを乗り切ることは難しいでしょうね」
実は、ザック・スナイダーが『スター・ウォーズ』をやりたがっているのは今に始まったことではない。昨年の11月半ばに行われたYouTubeチャンネル「TheFilmJunkee」でのインタビュー配信でも、ディズニーの生み出すユニバースのビジョンと自分のアプローチが合わないのではないかということを危惧していた。
「このことについては以前も話した気がしますが、僕は大の『スター・ウォーズ』ファンです。11歳の時に映画作りをはじめた原因も『スター・ウォーズ』でした。確実に自分に大きな影響を与えてきたし、ジョーゼフ・キャンベルが原型のストーリーテリングの魅力が神話の道に僕を導いてくれました。それぐらい『スター・ウォーズ』は僕にとって大きな存在です。だから、もちろんシリーズの映画製作に携わることに興味を持っています。まだ特に何も物語を書いていませんが……もう、自分が『スター・ウォーズ』ユニバースにフィットするかわかりませんね。だって……もう『スター・ウォーズ』のことがわからないから。僕の愛するものでもあると同時に、もしかしたら気付かぬうちに自分から離れてしまったものなのかもしれない。まあ、まだ大好きだし家中にライトセーバーが転がっていますがね」
ザック・スナイダーの話していること、つまり彼がもう“理解できなくなってしまった”のはディズニーのビジョンと言っていることから、エピソード7以降の作品を指していることがわかる。確かに、3作品はどれも賛否両論を巻き起こしていた。そして、現在『スター・ウォーズ』のファンの心を掴んで離さないのは、映画ではなく『マンダロリアン』などのドラマである。さらに、ザック・スナイダーは最近DCと『ジャスティス・リーグ』を巡って揉めに揉めたことも記憶に新しい。「スナイダー・カット」もアメリカでは今年3月にHBO Maxで無事配信(日本では『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』として5月26日デジタル先行配信、6月25日Blu-ray発売)された彼だが、なんと上映時間は4時間超え。もう自分自身でもこの件をネタにしており、先日公開されたNetflixの新作紹介動画では『アーミー・オブ・ザ・デッド』の監督としてラストに登場し、「一つ言わせて、尺を長くできる?」と笑いをとっている。
そういったこだわりも、スナイダーの言う“視点”なのだと思うが、彼が仮に『スター・ウォーズ』の新作を監督する日が来るとしたら、トイレ休憩必須の超大作になりそうだ。
■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。『アーミー・オブ・ザ・デッド』早く観たい!Instagram/Twitter
■配信情報
Netflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』
Netflixにて、5月21日(金)より独占配信予定
監督・脚本・製作:ザック・スナイダー
出演:デイヴ・バウティスタ、真田広之、エラ・パーネル、マティアス・シュヴァイクホファー、ギャレット・ディラハント、アナ・デ・ラ・レゲラ、サマンサ・ウィン、オマリ・ハードウィック、ラウル・カスティーリョ、ノラ・アルネゼデール、テオ・ロッシ、ヒューマ・クレシ、ティグ・ノタロ