異例尽くしの第93回アカデミー賞、問題は演出? 華やかなレカぺと衝撃的なラストへの反応

 第93回アカデミー賞の授賞式が4月26日(日本時間)午前に執り行われた。コロナ禍に見舞われた今年は、例年に比べて遅く開催されただけでなく、会場も小規模なユニオン駅で実施。参加者も170人程度に抑えられて開催された本イベントについて、開始直前にインタビューに答えたデヴィッド・ルービン会長は以下のように語っていた。

「色々な変化もあり、課題もあった今年。このイベントを素晴らしいフィルムメーカーに対して安全に実施することは、最終的にトンネルの向こう側で友達や家族がパーティーをするような、人々が再び集いともに映画を観てもらいたいという願いを込めています」

バックステージでのクロエ・ジャオ監督。オフカメラではマスク着用が義務付けられている。(c)Troy Harvey / A.M.P.A.S.

 会長の言う通り、会場のあるロサンゼルス市内をはじめ、アメリカでは厳正なロックダウンが何度か敢行された。ハリウッドのプロダクションも完全にストップしていた時期さえある。そんな長いトンネルを、徐々にワクチンの普及とともに抜けられる希望を見出してきた今だからこそ、映画界にとって意味のあったアカデミー賞。希望の輝きを象徴するかのように、今年も無事華やかなレッドカーペットイベントは行われた。

『ミナリ』主演男優賞初ノミネートのスティーヴン・ユァン(c)Matt Petit / A.M.P.A.S.

 冒頭のスピーチが印象的だったレジーナ・キングは、ショルダーが印象的なカスタムのルイ・ヴィトンを、歌曲賞で受賞したアーティストのH.E.R.は1985年に同賞を『パープル・レイン』で受賞したプリンスにインスパイアされたルックをデュンダスで再現。主演女優賞にノミネートされたヴィオラ・デイヴィスはアレキサンダー・マックイーンのカッティングの美しいワンピースで登場した。助演男優賞を受賞したダニエル・カルーヤはボッテガ・ヴェネタを纏い、『ミナリ』で初オスカーノミネートとなったスティーヴン・ユァンはグッチのカスタムタキシードに身を包む。そして何より注目すべきは、『ノマドランド』で監督賞を受賞したクロエ・ジャオの装いだった。ほぼノーメイクで三つ編みをし、必要以上な飾り気のない品のあるエルメスのドレスに白のスニーカーを合わせた彼女のシンプルなルックは、まさに“ノマド”的な自由なものだった。

 さて、シンプルだったのはジャオ監督のドレスだけではない。今年のアカデミー賞授賞式は、ひたすら賞を発表していく展開となった。例年では賞の合間に歌曲賞ノミニーのパフォーマンスが入るなど何かしらのエンターテインメントショーの要素が強かった。しかし、今年は授賞式前にあらかじめレコーディングした歌曲賞パフォーマンスを流し、授賞式本番は一切のライブなしという状態に。これもコロナを考えてのことだろう。代わりといってはなんな、「歴代の歌曲賞ノミネート曲クイズ」が突如開催されたが、やはりアワードの目玉でもあったパフォーマンスがなかったことで華を失った、単調で“休憩が欲しかった”という感想が多く見受けられている。