林遣都や紗栄子のサプライズ登場も! 令和の『ドラゴン桜』は下克上がテーマ

 一瞬、チャンネルを間違えたかと思った。画面から伝わる圧に訳もなく圧倒される。ダークな色調に目が慣れてくると、そこはどうやら会議室らしい。中心に座るのは江口のりこで、その横に及川光博。既視感のある風景を前に、記憶の底から蘇ってきたのは伝説のドラマ。半ざわ……ではない、そう『ドラゴン桜』(TBS系)だ。

 「今このだらしない国の中枢を担っているのは、お勉強ばかりしてきて柔軟な発想ができない東大出身者たちでしょ。私はここの生徒たちの才能や個性を伸ばして、この国を生まれ変わらせる」。まったくもって正論、と膝を打って目をやると、口角泡を飛ばしているのは白井国交……じゃなくて、江口演じる龍海学園の理事長・龍野久美子だった。それに懸命に食い下がるのが教頭の高原(及川光博)。経営立て直しのため進学校化を主張する高原は、ある男の名前を口にする。桜木建二(阿部寛)。かつて偏差値30の龍山高校から東大合格者を輩出し、学校再建を成し遂げた男。しかし、桜木は2年前に行方をくらましていた。

 2005年に放送され、東大受験のバイブルとして旋風を巻き起こした前作から16年。コロナ禍の放送延期を経た待望の『ドラゴン桜』新作は、初回からありったけの熱量とエピソードを詰め込んできた。新シリーズは日曜劇場に戦場を移し、『半沢直樹』(TBS系)、『下町ロケット』(TBS系)の福澤克雄らがメガホンを取る。前作までの骨格にビルドアップしたドラマの筋肉をまとい、思わずタイトルに『シン・』あるいは『Z』を付けたくなる迫力。令和の『ドラゴン桜』は下克上がテーマなのだ。

 「バカとブスこそ東大へ行け」。かつての自分に放たれた言葉を、今度は自分が生徒たちに伝える番と張り切る水野直美(長澤まさみ)。龍山高校「東大クラス」の生徒で桜木に出会って人生が変わった直美は、新規クライアントの龍海学園に桜木を連れてくる。当の桜木は「いいか、お前ら。東大になんか絶対に行くな」。皮肉なのか、反語なのか、ついぞ投げかけられたことのない剥き出しの言葉に目を丸くする生徒たち。

 努力して日本のトップである東大に合格するのは素晴らしいことだ。そこには語られるべきドラマがある。しかし、それだけなら社会現象にはならない。東大受験を掲げる『ドラゴン桜』が凡百の学園ものと一線を画したのは、受験バイブルとしての内実もさることながら、「なぜ、東大に行くのか?」という理由を明確にした点にある。