新キャプテン・アメリカ役ワイアット・ラッセル その配役が“完璧”である理由が判明

 3月19日より配信開始となり、毎週金曜日に新着エピソードが追加される『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)きっての人気コンビ、サム・ウィルソンとバッキー・バーンズが嫌味を言い合いながらも協力して反政府組織に挑むアクションバディエンタメ作品だ。

 現在第2話まで配信されており(全6話)、回を増すごとにどんどん面白くなっていくそのクオリティに毎度唸らされる。MCUの中でも『キャプテン・アメリカ』シリーズ、特に『ウィンター・ソルジャー』の人気が高い理由も、本作の面白さに繋がっているのではないかと思う。本シリーズ(巷では、「バキ翼」の愛称で親しまれている)は、いい意味で“マーベルらしくない”。1話からのカメラワークにもその感じが出ていて、マーベルはさておき普通のクリミナルサスペンスドラマとして十二分に楽しめるのだ。その作品の魅力である重厚感は、『キャプテン・アメリカ』というテーマそのものが、アメリカという国に迫るものであり、そこに「第二次世界大戦」などといった現実世界の史実や社会問題といったリアリティが描かれるからではないだろうか。

 そんなシリーズの中、今もっとも存在感があるのは第1話のラストに衝撃的な登場をしたジョン・ウォーカーだ。演じるのは、あのカート・ラッセルの息子(!)ワイアット・ラッセル。高校時代はアメフトのクォーターバックを務めていた、“ザ・スクールカーストのトップの白人男性”的なキャラクターは、サムやバッキーとはかけ離れた雰囲気を持っている。博物館に寄贈したスティーブのシールドを自分の物として掲げ、群衆の声援を浴びる新キャプテン・アメリカの彼が、なぜその大役に選ばれたのかも含め、その人物像が第2話では垣間見えた。しかし、どうやら彼が求めたものはキャップのシールドだけではなかったようだ。

Wyatt Russell on Playing Captain America in The Falcon and the Winter Soldier

 ジミー・キンメルが司会を務める番組『ジミー・キンメル・ライブ!』に昨夜(3月30日)出演したワイアット・ラッセルは、マーベル側にクリス・エヴァンスが着用していた衣装を着たいと要求したことを明かした。「それを着れば、彼のように良い仕事ができるような気がしたから」と話すラッセル。しかし、その願いは叶わず、結局ジョン・ウォーカー版の新たなキャプテン・アメリカの衣装が作られたそうだ。

 彼は続けて、衣装を初めて着た時の感想を「どうしよう。僕には力不足だ、マーベルは失敗するぞ」と、かなり不安に思ったことを明かした。「劇中僕がスーツを居心地悪そうに着ているのは、実際に居心地が悪かったからなんです」と話しながら、もともと胸を張る形で作られているキャップのスーツの造形についてコメントした。衣装を着た感想は、突如1週間前にスティーヴの後継者として任命されたジョン・ウォーカー自身のそれと、リンクしている。実はそれ以外にも、ラッセル本人がこの役柄とそっくりであり、だからこそぴったりのキャスティングだと言える理由が番組内で明かされた。

 司会のキンメルが「僕もずっとキャプテン・アメリカになりたかったんだ、叶わない夢だったけど」と彼を迎えながら話すと、ラッセルは「僕の次のキャップになれるかもしれませんよ」とユーモアを持って返した。その後、ジミーが「どこかで読んだのだけど、アンソニー・マッキーとセバスチャン・スタン曰く、あなたはマーベルのコミックや映画について何の知識もなかったとのことですが本当ですか?」と質問。ラッセルはそれを肯定しなが以下の通りに話した。「幼少期にコミックを読むことがなく、僕にとってのヒーローはスポーツ選手でした。だからセットでいつもスタンにいつも質問ばかりしていたら、余計ややこしくなるからやめてくれと言われてしまいました(笑)」

 「キャスティングの際に、マーベルのことを少しでも知っているような素振りは見せたんですか?」とジミーが聞くと、「しましたね。キャラの写真を見せられて、『あ〜!この人ね!』と知ったかぶりをしてしまって。その後、15分間スタジオ側から「サノスがね、こうしたからこうなって……」とあらゆる説明を受けたのですが、ちんぷんかんぷんだったので、最終的に何も知らないことを白状しました(笑)すると、今度は最初から全て丁寧に説明してくれて、本当にスタジオ側は優しかったです」

 キンメルがその後、もしかしたらそういった無知の部分を逆にスタジオ側は気に入ったかもしれないと指摘したが、確かにその通りだ。ラッセルがそうであるように、彼の演じるジョン・ウォーカーもマーベルのヒーローの世界についてほとんど何も知らない、“新人”なのである。そういった点を含め、ラッセルはジョン・ウォーカーを演じるにあたってぴったりの俳優だったのではないだろうか。ちなみに、お父さんが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でスター・ロードの父親であるエゴを演じたこと自体は知っていたらしい。

 さて、そんなワイアット・ラッセル演じるウォーカーは、第2話のラストでサムとバッキーに拒絶されたことに腹を立て、「俺の邪魔だけはするな」と、カメラの前では決して見せなかった“少しキツい”一面を見せた。果たして彼が今後、どのように活躍していくのか。闇落ちした彼に代わって、サムが真のキャプテン・アメリカを継承する展開もあるかもしれない。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。ロキのドラマも楽しみ。InstagramTwitter

■配信情報
ディズニープラスオリジナルドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』
ディズニープラスにて独占配信中
出演:アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、ダニエル・ブリュール
監督:カリ・スコグランド
脚本:マルコム・スペルマン
原題: The Falcon and Winter Soldier
(c)2021 Marvel

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