『知ってるワイフ』心温まるラストに 大倉忠義演じる元春への“もやもや”が“学び”に変わる

『知ってるワイフ』が示した“大切なもの”

 夫婦の不和を描いたこの作品は、些細なすれ違いや声の掛け方次第で、相手とうまくいかなくなってしまう様子を丁寧に描いてきた。それは夫婦だけでなく、会社、友人、家族においても同じこと。津山(松下洸平)との仲違いも、会社でのトラブルも、こうしたコミュニケーションの些細なズレから始まった。この作品には、今の自分の環境に不満を抱く前に自分の行動を見直そうという教訓も含まれている。そして人はこのことを学べば、大方の未来は自分次第で切り拓けるのかもしれない。最終回では多くの視聴者に、元春を通して感じてきた、もやもやした思いを学びに変えられる瞬間が訪れたのではないだろうか。

 新しい世界で、津山は元の奥さんと家庭を築き双子に恵まれている。チェロを続けている沙也佳は、花屋の上原(小関裕太)と出会い恋の予感が。木田となぎさには子供ができ、結婚秒読み状態だ。そして澪の母・久恵(片平なぎさ)の体調は良くなった。元春は自身を“不幸の種”と嘆いていたが、最後には全員が幸せになれる未来を作ることができたではないか。

 わかりやすいほどのハッピーエンドだが、心温まるラストはやはり良いもので、観ている者にも幸せな気持ちが満ちていく。より多くの家族が、そして自分自身も暖かく「笑って暮らす」家庭であれるようにと強く願える作品となった。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
木曜劇場『知ってるワイフ』(c)フジテレビ
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送 
出演:大倉忠義、広瀬アリス、松下洸平、川栄李奈、森田甘路、末澤誠也(Aぇ!group/ジャニーズJr.)、佐野ひなこ、安藤ニコ、マギー、猫背椿、おかやまはじめ、瀧本美織、生瀬勝久、片平なぎさ、
脚本:橋部敦子
編成企画:狩野雄太
プロデュース:貸川聡子
演出:土方政人、山内大典、木村真人
音楽:河野伸
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる