黒島結菜、清原果耶、杉咲花は“経験者”組 朝ドラヒロイン、3パターンの系譜を分析

 NHK連続テレビ小説、通称・朝ドラ。日本でもっとも多くの視聴者が観ているお化け枠である。民放制作のドラマが視聴率2桁=10%を超えればヒットと言われる昨今、朝ドラだけは18%の数字を取っても「低迷」と書かれてしまう。そう、朝ドラは“国民的ドラマ”なのだ。

 そんな朝ドラで、2022年前期『ちむどんどん』のヒロインを務める俳優が発表された。黒島結菜。各媒体が出した記事には“順当”“鉄板”“予想通り”の文字が並ぶ。確かに、沖縄北部・やんばるで生まれたヒロインを同じく沖縄出身の彼女が演じることは自然だし、黒島はNHK『アシガール』の主演に加え、大河ドラマや朝ドラ過去作への出演時にも高い評価を得ている。なるほど、鉄板だ。

 と思いつつ、過去の記憶をたどると、朝ドラヒロイン=新人女優の登竜門だった時代もあった気がする。ということで、ここではおもに2010年からの朝ドラにフォーカスを当て、ヒロインの系譜を探ってみたい。

(1)朝ドラ経験者をキャスティング

 今回発表された黒島結菜もそうだが、最近のヒロインで特に多いのがこのパターン。現在放送中の『おちょやん』で千代を演じる杉咲花は『とと姉ちゃん』(2016年・前)でヒロインの妹・美子を経ているし、2021年前期『おかえりモネ』のヒロイン・永浦百音役の清原果耶は、『あさが来た』(2015年・後)で今井家の使用人・ふゆとその娘のナツを、『なつぞら』(2019年・前)では主人公の生き別れの妹・千遥を演じている。また、2021年後期『カムカムエヴリバディ』でヒロインの1人として出演する川栄李奈も『とと姉ちゃん』で朝ドラは経験済みだ。

 さらに、『ひよっこ』(2017年・前)ヒロインの有村架純は『あまちゃん』(2013年・前)で若き日の春子を、『まれ』(2015年・前)の土屋太鳳は『おひさま』(2011年・前)、『花子とアン』(2014年・前)と2回に渡って過去作に出演し、『とと姉ちゃん』の高畑充希は『ごちそうさん』(2013年・後)でヒロインの義妹・希子を演じた。『べっぴんさん』(2016年・後)の芳根京子は『花子とアン』に、『まんぷく』(2018年・後)の安藤サクラは『おひさま』にそれぞれ出演しており、『カーネーション』(2011年・後)の尾野真千子も『芋たこなんきん』(2006年・後)を経てのヒロイン抜擢だった。

 意外なところでは『スカーレット』(2019年・後)で主人公の喜美子を演じた戸田恵梨香。じつは2000年の『オードリー』にヒロインの養母・滝乃の少女時代という設定で出演。ちなみに大人の滝乃役は大竹しのぶである。

 最初の朝ドラ出演から再登場まで約20年空いた戸田恵梨香は例外として、過去の朝ドラ経験者がヒロインに抜擢される理由のひとつが「プレヒロイン期で適正チェック」のような気もする。つまり、ヒロインの妹役や友人役を演じる若手俳優の様子から、半年以上の厳しい撮影に耐えられる体力と気力があるか、国民的ドラマにふさわしい将来性があるか……等を制作側が見ているのではないか。

 『ちむどんどん』のヒロイン・比嘉暢子を演じる黒島結菜は『マッサン』(2014年・後)と『スカーレット』に出演。『マッサン』では主人公夫婦の娘の友人・秀子を、『スカーレット』では、かわはら工房に弟子入りし、八郎(松下洸平)への気持ちを抑えられずに信楽を去る松永三津を担い、強い印象を残している。

(2)すでにキャリアがある俳優を起用

 このカテゴリーには2つのパターンがある。ひとつは『ゲゲゲの女房』(2010年・前)の松下奈緒、『おひさま』の井上真央、『梅ちゃん先生』(2012年・前)の堀北真希、『ごちそうさん』の杏、『花子とアン』の吉高由里子、『なつぞら』の広瀬すず、『スカーレット』の戸田恵梨香、そして『カムカムエヴリバディ』の上白石萌音と深津絵里。

 もうひとつは『純と愛』(2012年・後)の夏菜、『あさが来た』の波瑠、『わろてんか』(2017年・後)の葵わかな、『半分、青い。』(2018年・前)の永野芽郁。

 この違いがおわかりだろうか?

 全員すでにドラマや映画で主演経験があり、その実績と演技力を買われて、初の朝ドラ出演でヒロインを務めた(務める)点では同じだが、前者はオーディションなしで決まった「オファー組」。対して後者は「オーディション合格組」だ。

 また、『カーネーション』で尾野真千子から老年期のヒロインを引き継いだ夏木マリや『マッサン』、『エール』(2020年・前)で、それぞれ主役を担った玉山鉄二と窪田正孝はオファー組だが、ふたりの妻役、シャーロット・ケイト・フォックスと二階堂ふみはオーディションに参加して役を勝ち取っている。