福士蒼汰、“好青年”や“狂気”のイメージを発展 『神様のカルテ』で見せた著しい変化

 ドラマ『神様のカルテ』(テレビ東京系)の福士蒼汰が、とても魅力的だ。リーゼント頭の仮面ライダーとして人気を博した『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)の主演から10年。福士が、3月8日に最終話を迎える『神様のカルテ』で著しい変化を見せている。

 同ドラマは、医師であり小説家の夏川草介の小説『神様のカルテ』シリーズ4作を基に実写化。続編も公開された同名の映画版を覚えている人も多いだろう。長野県松本市にある24時間365日対応の基幹病院、本庄病院に勤務する真っすぐな青年医師・栗原一止が主人公のヒューマンドラマで、今回のドラマ化では、2時間枠で全4話の放送となった。

 初回冒頭、「何たる失態だ 私は慨嘆した」と、真っ黒な画面に浮かぶ白文字と、一止のモノローグで物語の幕は上がった。「ガイタン」とルビを振りたくなる文語調のセリフは、基本、原作をそのまま生かしたものであり、そのあとも一止は文語調で心の声を噴出し続ける。本ドラマは、文豪・夏目漱石を敬愛し、「変人」と揶揄される一止のキャラクターを、生身の人間に演じさせる挑戦にかけ、その難題を福士に託した。

 福士といえば、冒頭に述べた通り、俳優デビューを飾った2011年に、『仮面ライダーフォーゼ』の主役に抜擢。リーゼント頭の、昭和の不良のようなルックスに、強い正義感を持ち合わせた笑顔の眩しいヒーローを好演した。そして13年の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK総合)で演じた、ヒロイン・アキ(能年玲奈・のん)の初恋の先輩役で、一気に広い世代からの人気を獲得した。その後も少しはにかんだ爽やか笑顔を最大の武器にしつつ、少女コミック原作ものだけでなく、アクションやサバイバルもの等、多くの作品で経験を積み、福士蒼汰の存在を浸透させたが、映画『無限の住人』(2017年)の敵役挑戦などがありながらも、「好青年」のイメージが強く、そこを打ち破れない期間があったことは否めない。

『旅猫リポート』(c)2018「旅猫リポート」製作委員会 (c)有川浩/講談社

 これまでに福士には何度も取材する機会があったが、『旅猫リポート』(2018年)で話を聞いたときのことが、とても記憶に残っている。デビューから間も無くは芝居のレッスンを行っていたが、2年目以降は撮影のスケジュールに追われ、十分な芝居の稽古ができてなかったという福士。「今、改めてお芝居の勉強などをしています。数多くの作品を経験させていただいてから、また勉強できていることはすごく有難いです」と話し、さらに趣味などを含め、これまで人生で閉ざしてきた門を開いていると。そして「早く(芝居として)アウトプットしたい気持ちでいっぱいです」(引用:福士蒼汰、「やりたいと思ったことをやる。得たものを作品で出すのが楽しみ」|映画情報のぴあ映画生活)と口にしていた。

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