藤原竜也&竹内涼真の姿がアツく語ること 『太陽は動かない』の“シンプルな主題”

 ドーーーンッ!!!!

 およそ10カ月の時を経て、ようやく私たちの前に現れた映画『太陽は動かない』。飛び散る汗、たぎる血潮、耳をつんざく叫び、弾け合う肉体ーー見上げた視線の先にあるスクリーンには、その日その日のたった1日を生き抜くため、燃えるように暗躍する男たちの姿があった!  主演に藤原竜也、共演に竹内涼真を迎えた本作は、思っていた以上にアツい作品となっている。

 作家・吉田修一による『太陽は動かない』『森は知っている』という二つの小説を原作とした本作。これらは一般的に“鷹野一彦シリーズ”と呼ばれ、その第1作目と2作目が原作となっている。そしてこの主人公・鷹野一彦を演じているのが、我らが藤原竜也である。現在放送中のテレビドラマ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(カンテレ・フジテレビ系)での型破りな警察官役も話題だが、こちらの鷹野という男は想像を絶するほどに型破りな男だ。なぜならば、何を隠そう彼は諜報員なのである。


 私たちの暮らす世界において、警察官の友人・知人がいる方は多いだろう。しかし、「幼馴染みが諜報員やってるよ!」「実はうちの夫、諜報員なんです……」なんて方はいないのでは? そもそも私たちの周りに諜報員がいたとして、彼らはその事実を明かすことは許されないわけだ。だからこそ通称“スパイ”である彼らは、本当に存在しているのかいないのか分からない。というわけで、本作で藤原が演じる鷹野は、いうなれば非現実的な人物であり、どこまでも型破りな男なのだ。そんな彼の相棒が、竹内涼真が演じる田岡亮一である。

 ざっくりとあらすじを記そう。鷹野と田岡のコンビは、日本の特殊工作組織「AN通信」の諜報員だ。彼らの胸には爆弾が埋め込まれており、24時間ごとに組織への定期連絡をしなければ、これが「ドーーーンッ!!!」と起爆する仕掛けになっている。そんな二人が、これまでにない壮大かつ危険なミッションに挑むことに。それは、全人類の未来を決める“次世代エネルギー”の極秘情報を手に入れること。世界各国の同業者が動き出し、苛烈な争奪戦を繰り広げることになる。


 冒頭で本作のことを“思っていた以上にアツい”と評したが、この“思っていた以上に”というのは、予告編に対してのこと。高速で走行する列車に飛び乗ったり、ヘリコプターを操縦したり、とにもかくにも爆発したり……予告編だけでもお腹いっぱいだ。これが映画本編では110分間、怒涛の勢いで展開していく。とはいえ、ジャンルでいえば“スパイ映画”。頭脳戦も繰り広げられる。馴染みのない固有名詞がいくつも飛び交い、観ていて少しばかり混乱をきたすものの、心配はご無用。鷹野と田岡の活躍を見ていれば、自然と全体像も見えてくる。彼らがどのような立場にあり、いったい何と戦っているのかーー。鷹野も田岡も、いまを生きるために大きな“宿命”を背負わされた存在なのだ。

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