乃木坂46×櫻坂46×日向坂46による本格ミステリードラマ 『ボーダレス』の注目ポイント解説

 ひかりTVオリジナルドラマ『ボーダレス』が3月7日23時より放送開始となる。この作品は『ストロベリーナイト』シリーズで知られる誉田哲也の同名小説が原作で、4つの異なる物語がある事件をきっかけに交錯していく本格ミステリードラマ。乃木坂46、櫻坂46、日向坂46がグループの垣根を超えて、初めてドラマ共演を果たす。

 そもそも原作の『ボーダレス』は、誉田が企画段階から欅坂46&けやき坂46のメンバーで映像化することを想定して書かれた作品で、ある意味では当て書きされたといっても過言ではない物語だった。しかし、諸事情により当初の形での映像化は実現しなかったものの、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46という独立した3グループが交わるという新たな試みにより、作品としての注目度はさらに加速することとなった。

 本作に出演する坂道グループのメンバーは森田ひかる(櫻坂46)、齊藤京子(日向坂46)、渡邉理佐(櫻坂46)、濱岸ひより(日向坂46)、小林由依(櫻坂46)、早川聖来(乃木坂46)、遠藤さくら(乃木坂46)の7名。演技経験の多いグループの中心人物から未来を担う次世代メンバーまで、各グループのファンのみならず幅広い層にアピールするバラエティ豊かな人選となっている。

 ここからは各グループ、および出演メンバーの特徴について触れていく。まずは、今年8月で結成10周年を迎える乃木坂46から。音楽番組のみならずバラエティ番組やCM、ファッション誌やグラビア誌など多方面で活躍する国民的アイドルグループの乃木坂46だが、実は演技に対しても結成初期から真摯に向き合い続けている。メンバーの大半は1幕でのオーディションを経て2幕出演を勝ち取るという過酷な舞台『16人のプリンシパル』(および『3人のプリンシパル』)を経験しており、これを機に演技に興味を持つようになったメンバーも少なくない。また、中には生田絵梨花のようにミュージカル『レ・ミゼラブル』出演を果たした者まで存在する。

 今回『ボーダレス』に出演する早川と遠藤は、4期生とグループ在籍歴が若いメンバー。2人は2019年4月上演の『3人のプリンシパル』を経て、dTVオリジナルドラマ『サムのこと』(2020年)に出演を果たしている。遠藤は4期生の中でもいち早くシングル表題曲(2019年9月発売の『夜明けまで強がらなくてもいい』)でセンターに抜擢。早川も『3人のプリンシパル』での活躍が認められ、2019年にミュージカル『美少女戦士セーラームーン』を経験したほか、2020年には舞台『スマホを落としただけなのに』や即興ミュージカル『あなたと作る~etude The 美4』に出演するなど、ともに短期間で大躍進を遂げている。今回早川が演じるのは、音大受験に失敗して音楽から距離を置く姉に失望を隠せないでいる妹・市原叶音役。遠藤は病弱で外出ができない少女・松宮結樹役を務める。ともに表現の難しい役どころだが、これまでの経験が今回のドラマの中でどう反映されるのか、ぜひその目で確かめてもらいたい。

 続いては、昨年10月に欅坂46としての5年にわたる活動に終止符を打ち、新たなグループ名で第一歩を踏み出した櫻坂46について。欅坂46時代はストイックかつ圧倒的なパフォーマンスと巧みな表現力で、観る者を圧倒させ続けてきたが、その才能は櫻坂46にも引き継がれている。

 欅坂46時代に『徳山大五郎を誰が殺したか?』(2016年/テレビ東京系)、『残酷な観客達』(2017年/日本テレビ)といったメンバー総出演ドラマを経験している小林と渡邉だが、小林はそれ以降も舞台『ザンビ』(2018年)やテレビドラマ『女子高生の無駄づかい』(2020年/テレビ朝日系)、映画『さくら』(2020年)とグループ外での女優活動が活発化。時にはクールに、時にはコミカルにと幅広い役柄に挑戦し続けている。今回小林が演じる市原琴音は、音大受験失敗という挫折を味わった、どこか影のある女性。妹役の早川とのぎこちない関係がこの先どう変化するのかも、気になるところだ。一方、渡邉は弱視の妹を全力で守る姉・八辻芭留を熱演。これまでは上記以外での演技経験はないものの、その佇まい含め独特の空気感を放つことから、今回の『ボーダレス』でどこまで成長した姿を見せてくれるのかに期待が高まる。

 そして、櫻坂46の現センターでもある森田は今回が演技初挑戦。もっとも未知数な存在ながらも、7日放送の第1話では彼女が演じる森奈緒を中心に不可解な物語が進行していく。そんな不穏な世界感の中で、非常に自然体な演技を全うする森田の姿に目を奪われるという方も、きっと多いことだろう。物語が進行していくにつれて、女優としてどんな成長を遂げるのかにも注目だ。

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