『青のSP』香里を殺した犯人が明らかに ブラック部活に潜む真の暴力

 松田に自転車のワイヤーを切るように指示したのが校長の木島(高橋克実)で、木島と松田のどちらにも香里を殺す意図はなかった。香里の死は不運が重なったもので、報われない死を前にやりきれない気持ちになる。たしかに木島は不祥事を隠蔽してきたが、巨悪と呼べるほどの動機はなく、せいぜい保身と間違った「生徒のため」という信念にすぎない。こんなことのために香里は死ななくてはならなかったのだろうか? 木島への制裁が何の解決にもならないことは隆平もわかっていて、涼子に「まだ終わってない」と話す。

 学校内で起きる問題が予想もつかない方向へと転がっていく『青のSP』。8回の放送を通じてわかってきたのは、学校の中と外を分けることがナンセンスであるということだ。木島の逮捕がもたらすのはあくまで校内での解決で、問題は学校の外にも広がっている。木島が退場して、美月が香澄(鈴木梨央)と交わした視線の意味も気になる。香澄は美月に対してどこか気を使った、いわくありげな態度を取ってきた。そういえば佳澄の姓は教育長と同じ尾崎。香澄が何かを知っていることは間違いなさそうだ。

 坂木役の山時聡真。大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK総合)で田畑政治の少年時代を、昨年の連続テレビ小説『エール』(NHK総合)では、音(二階堂ふみ)の音楽教室に来る弘哉を演じるなど活躍の場を広げている。思慮深い落ち着いた雰囲気が今後の伸びしろを感じさせる逸材だ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:藤原竜也、真木よう子、山田裕貴、泉澤祐希、たくませいこ、渋谷謙人、智順、兒玉宣勝、金沢雅美、音尾琢真、石井正則、須賀健太、遠藤雄弥、明日海りお、峯村リエ、升毅、山口紗弥加、高橋克実
脚本:大石哲也、山岡潤平、小島聡一郎
音楽:菅野祐悟
プロデューサー:河西秀幸、国本雅広、高橋史典
演出:国本雅広、白川士、高橋貴司
制作:カンテレ、ケイファクトリー
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/schoolpolice/
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