『天国と地獄』東朔也の正体を徹底考察 柄本佑演じる陸がキーパーソンに?

「もう断定していいのかもしれない、東朔也は……」

 日曜劇場『天国と地獄〜サイコな2人〜』(TBS系)第7話は、物語が一気に動き出した。

 前回、一連の殺人事件の最重要人物として急浮上した東朔也。彼は、日高陽斗(高橋一生)の二卵性双生児の兄だった。

 これまで本作のタイトルは、望月彩子(綾瀬はるか)と日高陽斗の入れ替わりを意味するものだと思われた。だが、父に引き取られるか母に引き取られるかで、天と地ほどに人生が変わってしまった日高陽斗と東朔也の人生を前にすると、また違った響きに聞こえてくる。そして、そんな数奇な運命をたどる2人に、彩子が深く関わることになった理由とは――。

クウシュウゴウ=いるのにいない扱いを受けてきた東朔也

 日高によって殺人リストなどの証拠品と共に保管されていた漫画『暗闇の清掃人∅』を改めて読み返した彩子。そこには世の中からまるで存在していないような扱いを受け主人公が、法で裁けない悪人たちを殺害し、世の中を清掃していく姿が描かれていた。人に見つけられないというのは、ひとつの才能だと。東朔也は、この漫画を読み「自分のことのようだ」と心酔し、自殺して亡くなった十和田元(田口浩正)の家から持ち帰るほどの執心を見せたというのだ。

 一方で「いるのにいない、なんてない!」と言い放つ彩子。そう、東朔也は実在する人物なのだ。いくら事件の証拠を日高が消し去ったとしても、偽名を使っていたとしても、社会のセーフネットから零れ落ちそうになったとしても。日高陽斗に双子の兄がいたことは、まぎれもない事実。

 そして、日高の父が語る東朔也は、実にいい子だった。様々な大人の事情があったにせよ置いていった母に対しても理解を示し、愛情たっぷりに育てられた弟・陽斗に対しても妬んだりすることなく優しく接していた。偶然にも同じ場所の乳歯が抜けたことで、奇妙な交換をした2人。その歯が、まさか次の猟奇殺人現場に落ちていようとは……。

東朔也=暗闇の清掃人∅=陸の師匠・湯浅和男!?

 東朔也の情報を整理するほど、その正体は陸(柄本佑)が「師匠」と呼ぶ湯浅和男(迫田孝也)の姿がちらついて仕方ない。清掃業もしていた湯浅なら、十和田の家の作業現場にいたことも納得だ。また、日高へのメッセージとして使っていた数字の落書きを消す作業を、毎回陸に頼んでいたのも、その仕事ぶりを信頼してのことだとしたら納得がいく。

 実際に陸が消している作業中に様子を見に来たこともあったことから、陸もその疑いを持たずにはいられない。あとは右の手のひらにホクロがあれば、ビンゴといえるのだがそれを見越したかのように、湯浅の右手が火傷をして包帯で隠れているのもますます怪しい。

 そういえば湯浅は「三枝」という名で借りた家に住んでいた。日常的に偽名を使う生活をしていること、そして腹部に痛みを訴えて倒れたところも、「膵臓がんを患っている」という日高の東朔也情報と一致している。財布からこぼれ落ちた薬はトルヒノームだろうか。同時に飛び出した、SDカードも気になるところだ。

 しかし仮に湯浅と東朔也が同一人物だったとしても、にわかにこの凶悪な連続殺人事件の黒幕だとは思えない。それは以前、彩子に深く関わることで面倒なことになりそうだと悩む陸に、こう話していたシーンが蘇るからだ。

 「俺の親父は色々面倒な人でさ、でも縁切るってのもどうしてもできなくて、結局死ぬまで振り回されっぱなしだったよ。でも、そのやさしい孝行息子に残ったのは、そのバカ義理の仕事と、他人の名前で借りた小部屋だけよ」。一見すると父親への恨み節に聞こえなくもないが、重要なのはそのあとに続く言葉だ。「だからな、俺は逃げてのもいいとも思うぞ」。

 愛憎に縛られる自分を「手放す」ことを諭すような言葉を放ったこの人が、父に負債を押し付けた四方をはじめとした人たちに直接制裁を加えようとするだろうか。そして、その現場に陽斗の乳歯を置いていく理由があるだろうか。

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