⻲梨和也が表現する悲哀に圧倒される 『レッドアイズ』二転三転する極上のサスペンス
もう誰もかも、何もかもが怪しく思えてくる。ひとつのヒントも取りこぼすまいと夢中で見入る。迫るタイムリミットと、二転三転する事件が息つく間もなく展開する『レッドアイズ 監視捜査班』。第2話も、あっという間の1時間だった。
本作において大きな魅力となっている、天才たちによるひらめきがやはり爽快だ。小牧(松村北斗)がいとも簡単に暗号文を解読すれば、山崎(木村祐一)はすぐさま、犯罪史上に名を残す凶悪犯・ゾディアックを導き出す。彼らが持つ知識・頭脳と、KSBC(神奈川県警捜査分析センター)の技術を駆使した地道な分析・捜査。この両輪があってこそ、事件は最短ルートで解決へと向かう。第2話ではそれを象徴するシーンがあった。
「無駄って、やる気と体力を奪うんで」。効率主義の小牧からすれば「無駄が多い」、KSBCによるしらみ潰しの捜査。それでも「これが私たちの仕事なの」と、長篠(趣里)は毅然とした態度で言い切った。その後、長篠の執念と情報分析官らの連携プレーが功を奏し、瞬く間に犯人へと繋がってゆくシーンは、天才たちのひらめき同様、爽快だった。「しらみ潰しが近道ってこともある」。山崎の言葉と、士気が高まるKSBC。ばつが悪そうにしていた小牧だが、湊川(シシド・カフカ)誘拐事件の発生を機に、明らかにその表情、姿勢が変わった。「これが僕たちの仕事なんでしょ」「指示をください」
“僕”ではなく“僕たち”と言ったことに、小牧の意識の変化が見える。小牧の頭脳とひらめきが長篠に、長篠のスキルと誇りが小牧にと、互いに良き影響を与える名コンビになりそうだ。
「人を殺した」という、KSBCへの電話から始まった今回の事件。俺を捕まえてみろという挑発的な犯人だが、二度目の電話で山崎が「ほんまに殺しが楽しいんか?」と問うと、漆川(般若)はわずかに狼狽した。犯罪心理学者・山崎が“本案件の犯人”に抱く違和感。殺しを楽しみたいなら人知れず行うはず、存在を知らしめたいにしては暗号文が雑すぎる、殺しにこだわりがない……なにか“別の目的”があるのでは、と。
その“別の目的”に、伏見(亀梨和也)、あるいはKSBCが関わっているのだろうか。漆川と“証言者”蠣崎(忍成修吾)、ひいては第1話に登場した、右手に傷を持つ“黒幕”との関係は、現時点では不明だ。しかし、伏見の傷をなぞり、さらに深く傷つけるような“蠣崎の犯行”は、明らかに伏見にフォーカスしていると言えよう。