仲野太賀「夢のような現場でした」『すばらしき世界』役所広司との初対面シーン公開
西川美和監督最新作『すばらしき世界』の本編映像が公開された。
役所広司が主演を務める本作は、『復讐するは我にあり』(文春文庫)で直木賞を受賞した佐木隆三の小説『身分帳』(講談社文庫)を原案とした西川監督の最新作。これまで一貫してオリジナルにこだわり続けた西川監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑む。
下町の片隅で暮らす短気ですぐカッとなる三上(役所広司)は、強面の見た目に反して、優しくて真っ直ぐすぎて困っている人を放っておけない男。しかし三上は、人生の大半を刑務所で暮らした元殺人犯だった。一度社会のレールを外れるも何とか再生しようと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンの津乃田(仲野太賀)と吉澤(長澤まさみ)がすり寄りネタにしようと目論む。三上の過去と今を追ううちに、逆に思いもよらないものを目撃していく。生きづらい社会の中で、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して「社会」と「人間」の“今”を描く。
このたび公開されたのは、主人公・三上とテレビディレクターの出会いのシーン。やり手のTVプロデューサー・吉澤から「面白いネタがある」と仕事の依頼を受けた津乃田。作家を志してテレビ制作会社を退社したものの生活が苦しい津乃田は、“前科者の三上(役所広司)が心を入れ替えて社会に復帰し、生き別れた母親と涙ながらに再会する感動ドキュメンタリー”に仕立て上げようと取材をすることに。映像は、刑期を終えて病院にいる三上のもとへ津乃田が付箋びっしりの三上の資料を手に訪ねるところから始まる。おそるおそる近づく津乃田だが、三上は彼の来訪を喜び、若い頃の武勇伝を意気揚々と語りきかせる。「仲間と暴れて逃げてですね」とはにかみながら博多弁で話し始め、暴力団との抗争の際、京都の祇園で日本刀でばっさりやられ44針。縫った傷口を「ほら!」と人目をはばからず見せる三上の姿に慌てふためく津乃田だが、人生の大半を刑務所で過ごした前科者とは思えない、なんとも純粋な屈託のない笑顔で話しかけてくるのだった。津乃田は三上の穏やかで人懐っこい一面に触れ、会った瞬間から、ふしぎな魅力で惹きつける三上に興味を持ち始める。
仲野は、津乃田役を演じることについて「津乃田にある俗っぽさみたいなものをしっかり出したいと考えていました。脚本を読むと、津乃田と三上さんの距離感が、シーンごとに変わっていく。三上のものすごく恐ろしい部分に触れたときがあれば、人間味あふれ、優しい部分に触れるときもある。ころころ変わる三上によって津乃田からの三上の見え方も変わるので、その距離感の変化は意識して演じました」とコメント。「『ここに来たくて、今まで仕事をしてきたんだな』と思える作品でしたと。西川監督のもと、役所広司さんと共演させていただき、撮影の笠松(則通)さんを筆頭に、周りを見渡せば、日本映画界の聖域みたいなスタッフと現場でいて、今まで頑張ってきてよかったなと。あと15回くらい津乃田を演じたい、それくらい夢のような現場でした」と作品への愛を熱く語る。
■公開情報
『すばらしき世界』
2月11日(木・祝)全国公開
出演:役所広司、仲野太賀、橋爪功、梶芽衣子、六角精児、北村有起哉、長澤まさみ、安田成美
脚本・監督:西川美和
原案:佐木隆三著『身分帳』(講談社文庫刊)
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
公式サイト:subarashikisekai-movie.jp