佐藤浩市×石田ゆり子×西島秀俊が語る、『サイレント・トーキョー』と日本映画界の現状

 映画『サイレント・トーキョー』が12月4日より公開中だ。『アンフェア』シリーズの秦建日子が、ジョン・レノンの名曲「Happy X-mas (War Is Over)」にインスパイアされ執筆した小説を映画化した本作は、クリスマスの東京を突如襲った“連続爆破テロ事件”に翻弄される国家と人々の姿を描いたクライムサスペンス。

 今回リアルサウンド映画部では、東京で起きた連続爆破テロの容疑者・朝比奈仁を演じた佐藤浩市、買い物の途中で事件に巻き込まれる主婦・山口アイコを演じた石田ゆり子、一連の事件を独自に追う渋谷署刑事課警部補の世田志乃夫役の西島秀俊の3人にインタビュー。圧倒的なスケールで描かれる本作での役作りや、今年俳優生活40周年を迎えた“俳優・佐藤浩市”について語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りポスタープレゼント企画あり】

佐藤「映画を観て思ったのは、『思ったより難しいぞ』ということ」

ーー今回の『サイレント・トーキョー』は昨今の日本映画ではなかなか珍しい、スケールの大きな作品ですね。

佐藤浩市(以下、佐藤):いわゆる“日本映画”というものは、個人の背景的なことにフォーカスを当てて、登場人物の心情を丁寧に追っていく作品がどうしても多くなってしまう。ただ、今回の『サイレント・トーキョー』は、“99分”という短尺で見せるため、そういったことを逆に全部排斥して、そうではないところで見せようとした作品だと思います。そういう波多野(貴文)さんの今回のやり方が、昨今の日本映画ではわりと新しかったのではないかなと。僕が“主演”と言っても、くじ引きで決まっちゃったようなものですし(笑)。大きな言い方をすれば、今回は群像劇で、主役なのは渋谷だったりCGだったり、アクションだったりしますから。

ーーいまおっしゃったように“99分”という尺はこの規模の映画ではかなり短いですよね。

佐藤:僕なんかは本を読んだ時点でどれくらいの尺になるかすぐに計算しちゃうタイプなんです。今回は話が話だから2時間切れればいいのかなと思っていたら、実際は99分で、思ったよりも短かった。なぜかというと、朝比奈だったりアイコだったり世田のように、全ての登場人物の過去や背景をあえて省いているから。そういうことに特化した作品で、その見せ方を選択した波多野さんの覚悟は相当大きかったと思います。実際に映画を観て思ったのは、「思ったより難しいぞ」ということでした。

ーーそれはどういう意味でしょうか?

佐藤:ストーリーなり人物なり、いろんなものの合図を観客の方が拾っていくには意外と難しいかなと。緊張感を緩めて観ることができないのではないかなと思いましたね。集中して観なければいけない。だから、監督がそちらに勝負をかけたということだと思うんです。

ーー石田さんと西島さんは、この映画はどのような作品になると思っていましたか?

石田ゆり子(以下、石田):とても壮大な企画だなと。私はこういうタイプの作品に出るのが初めてなんです。しかも重要な役だったので、正直、私がこの役でいいのかなと思いました。でも、佐藤さんと西島さんが出られると知っていたので、絶対に面白い作品になるだろうなという確信はありました。あと、一体この原作をどうやって映画化するんだろうとは思いました。でも波多野組ですし、だからこその波多野組というか。逆に波多野さんがどう映像化するのかにとても興味がありました。

西島秀俊(以下、西島):僕もお二人が出るということが1番大きな出演の動機でした。あと、波多野監督とは以前『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』でご一緒していて。前回はコメディだったんですけど、今回は波多野さんの得意とするジャンル、本領が発揮されるような作品だと思って、どういう現場になるのかなという興味もありつつ、参加させていただきました。

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