『七人の秘書』リリー・フランキーに泣かされる回に 『ドクターX』ファンへの目配せも
黒子である秘書の暗躍を描いたお仕事ドラマ『七人の秘書』(テレビ朝日系)は、元も現役も含め、7名の経済界や政界トップの秘書が連携し、各所に蔓延る悪をこらしめる勧善懲悪ストーリー。回を追うごとに視聴率が右肩上がりというこのご時世、稀有なドラマだ。
第6話では、第3話でうっすら存在がほのめかされたパク・サラン(シム・ウンギョン)の日本人の父親が登場する。 “日本一のゴッドハンド”として名高い東帝大学病院の心臓外科教授・白鳥六郎(リリー・フランキー)で、韓国にサランと母親を置き去りにし、日本で専門医としてのキャリアを築き上げた人物。難病患者しか担当しない彼が、急性心筋梗塞で倒れた東京都知事・南勝子(萬田久子)の執刀医となる。これも裏のフィクサー・財務大臣の粟田口十三(岸部一徳)の根回しで、さらに自分の思い通りにならない都知事を失脚させようとわざと彼女の手術を失敗するように持ちかける。しかし「私は人を生かすために研究している」と依頼を突っぱねた白鳥から、粟田口は即座に依頼先を変える。それを知ったサランのさらなる根回しによって、都知事は無事白鳥による手術を受けることができ、退院できたのだった。
白鳥が所属する「東帝大学病院」と言えば、同じく中園ミホ脚本の人気作『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系、以後『ドクターX』)シリーズの舞台となった大病院だ。『ドクターX』では旧態依然とした大病院に一矢報いる側にいるフリーランス外科医・大門未知子(米倉涼子)の派遣元である名医紹介所所長・神原晶役を演じた岸部一徳が、本作ではどっぷり体制側にいる財務大臣の粟田口十三役として、正反対の立場からあの決め台詞を放つ。「“私、失敗せえへんさかい”って言うスーパードクターや」と、大門の決まり文句を用いて白鳥のことを紹介するパロディーぶりに沸き立ったファンも多かったのではないだろうか(ちなみに、室井滋は彼とは反対に、『ドクターX』では体制側である大病院の事務長、本作では反体制側で秘書たちと共に暗躍する鰐淵五月役を演じている)。
また、第6話は第3話同様、シム・ウンギョン演じるサランと、そしてリリー・フランキー扮する白鳥との父娘の対話シーンに泣かされる回となった。実は白鳥はサランが自分の娘であることに随分前から気付いていたことを明かし、「私もあなたのような外科医になりたかった」と打ち明けたサランにこう話す。「私はメス一本で人命を救ってきた。そのために沢山のものを犠牲にしてきた。家族も捨てた。サラン、お前には別の方法で人を救える人になってほしい」。これは奇しくも第3話で、ラーメン店店主で秘書軍団の元締めの萬(江口洋介)が掛けた言葉「サランは医者じゃなくても、人を救ってるぞ」とリンクし、より胸を打たれてしまう(ちなみに、秘書たちの名前にそれぞれ漢数字が入っているという共通点がある中、“六”は白鳥六郎が該当しているという憎い演出がここにきて炸裂する)。