柴咲コウのあまりに辛い心の叫び 『35歳の少女』仲直りできない登場人物たちの行き着く先は?

『35歳の少女』柴咲コウの悲痛な心の叫び

 柴咲コウが主演を務めるドラマ『35歳の少女』(日本テレビ系)が11月21日に第7話を迎えた。

 物語もいよいよ大詰めに。第7話では、これまでベールに包まれていた結人(坂口健太郎)の家族関係が明らかとなる。結人の父親・尚志を演じるのは西岡德馬。これまで、『女王の教室』(2005年)、『過保護のカホコ』(2017年)、『同期のサクラ』(2019年)と日本テレビ系の遊川和彦が脚本を手掛ける作品に多く出演している常連。そして、母親・依子を演じるのは『同期のサクラ』で西岡と共演していた筒井真理子だ。

 親子の縁は切ったと望美(柴咲コウ)を両親に紹介するのを渋っていた結人。そこには、御曹司かと疑うような豪邸と殺伐とした仲の夫婦がいた。結人との久々の再会に溺愛モードの依子。「元気なの? お仕事は?」そう心配する母親だが、結人が再び教師を目指していることを聞くと、「そんなの辞めたら」と切り捨て、金はあると言わんばかりに「お家に帰ってくればいいじゃない」と誘う。

 そして、リビングで待っていたのは寝たきりでヘルパーに介護されている尚志。衝撃なのは、「伝えておいてくれ」とヘルパーを介して会話をする、尚志と依子の冷え切った夫婦関係だ。官僚として国のために一生懸命働く尚志と夫に尽くす良妻賢母の依子……という結人の理想とはほど遠く、現実は影で愛人を作り豪遊する父と、文句を言えずストレスを発散するために子供の結人にべったりな過干渉の母親だった。そこから尚志が脳梗塞で倒れ、立場は形勢逆転。介護をヘルパーに任せ、依子は贅沢三昧をしている。家を後にする望美に依子は恥ずかしいところを見せてしまったと謝って見せるものの、「死ねばいいのよ」とすぐに本性を露わにする。その鋭利なセリフは、きっと望美の中で愛美(橋本愛)から言われた「あの時死んでくれた方がよかった」という言葉を思い出させたに違いない。

 第7話のテーマは、仲直りの仕方。冒頭、25年前の多恵(鈴木保奈美)がその方法を望美に教えようとするところで映像は途切れる。これまでであればその方法を望美はカセットテープに収録された過去の音声から答えを知ることとなるが、今回はテープが伸び切ってしまったことで回答を知ることができない。結人の両親同様に、冷え切った望美の家族。一人で暮らすには広すぎると家を売却することを多恵が告げると、またいつものように進次(田中哲司)、愛美の口喧嘩が始まっていく。自分を取り繕うその姿は、相手の気持ちを何も分かっていない。仲直りをする方法さえ忘れてしまった多恵、さらには過去に縛られ未来を見ようともしない進次、愛美に望美は「みんなが無駄にした時間、私にちょうだい!」と言い放つ。

 結人だけがいればいい。そう心に留め、口づけを交わした前回だったが、悲しくも望美は結人とも少しづつ溝が出来始めている。「結婚するとは思えない。望美を受け止めきれずに重荷になる」。そう告げていた多恵の予想通りに、身も心も35歳となった望美の焦りは結人を前して空回りし続けていた。それは望美もまた結人を、結人もまた望美の気持ちを理解できていないという答えに着地する。

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