菜々緒、『七人の秘書』で“女性ならではの痛み”を代弁 悪女のパブリックイメージを覆す?

 本作での不二子役は、これまでの菜々緒の役どころと異なり、全くもって同性同士の輪を掻き乱さず、ラーメン屋「萬」の店長や、望月千代(木村文乃)からの声掛けを持って発動する側に配置されている。ストレートに正義感を振りかざす役どころも、彼女のこれまでのラインナップからするとかなり珍しい。

 またこれまで彼女が演じたキャラクターはいずれも強い意志を持ち、他人に媚びずに自立した女性が多かった。本作での不二子役もその雰囲気を纏ってはいるが、そんな不二子がラーメン屋「萬」で辞令を受けた後に涙した姿や、職場で人知れず傷ついている姿はとても新鮮に映る。そのためもあってか、第4話はより一層理不尽さや切なさが胸に迫ってくる回に仕上がっていた。並外れたプロポーションと美貌ゆえに演じられる役どころは限定、かつ固定されがちで、“ごくごく一般的な人”を演じるのは難しいかと思われるそんな彼女が“女性ならではの痛み”を代弁し、他の女性からの共感を得られていること自体がこれまでになかったことではないだろうか。

 今までは「個」としての抜群の存在感と異質感を放っていた菜々緒が、大所帯の中にいてももちろん埋もれることはなく、ただし彼女一人にだけスポットライトが当たる形ではなく、様々な個性と共存し互いに生かし合えているのは、彼女にとっての新境地とも言える。

 また、第4話で犯人逮捕の決定的証拠になった1枚の写真が、粟田口十三(岸部一徳)と萬敬太郎(江口洋介)を結びつける接点にもなってしまい、一気に物語が加速しそうだ。今後、彼らの過去の因縁が明らかになっていきそうで楽しみだ。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『七人の秘書』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介
ゲスト:萬田久子、大和田伸也、木下ほうか、小林隆、杉田かおる、藤本隆宏、とよた真帆、橋爪功、マキタスポーツ、リリー・フランキー、松本若菜、永瀬莉子
脚本:中園ミホ、香坂隆史、林誠人
演出:田村直己(テレビ朝日)ほか
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、 浜田壮瑛(テレビ朝日)、大垣一穂(ザ・ワークス)、角田正子(ザ・ワークス)
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日

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