横浜流星の見事な進化ぶりで胸がいっぱいに 『きみの瞳が問いかけている』の息をのむ美しさ

 やがて恋に落ちる明香里と塁。口数の少ない塁の感情は、ほとんど横浜の瞳で語られる。明香里を守るためなら、人をも殺めかねない狂気じみた怒りの目。明香里のヒザで子犬のように心を許している目。明香里との未来を見つめて生きる活力を取り戻した目。明香里にできることはこれしかない、と再び日陰に戻ることを覚悟をした目……。塁の真っ直ぐすぎる眼差しに、ゾッとしたり、フッと力が抜けたり。

 2人の生活があまりにもまばゆく描かれるからこそ、忍び寄る影の深さに観客も怯えずにはいられない。人を愛し、そして自分を赦す難しさを。未来への光と過去の影と共に生きていく苦しみを。塁の、いや横浜流星の、その瞳が問いかけるのだ。

 美しいだけでは役者はできない。だが、美しいことは役者が持つ光の力とも言える。誰もが手を伸ばしてみたくなる強い光を持った役者は、濃い影を落とすこともできる。この先、多くのキャラクターの人生を照らし、影を落とし、物語の世界を彩っていく俳優として活躍していくことだろう。その成長をぜひ見てみたい。美しい映画を観た充実感と、未来への新たな光を得た気持ちで、胸がいっぱいになった。

■公開情報
『きみの瞳(め)が問いかけている』
全国公開中
出演:吉高由里子、横浜流星、やべきょうすけ、田山涼成、野間口徹、奥野瑛太、般若、森矢カンナ、坂ノ上茜、町田啓太、風吹ジュン
監督:三木孝浩
主題歌: BTS「Your eyes tell」
配給:ギャガ
(c)2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会 (c)2020 Gaga Corporation / AMUSE Inc. / Lawson Entertainment,Inc.
公式サイト:gaga.ne.jp/kiminome/

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