『逃げ恥』続編の展開はどうなる? 『北の国から』『わた鬼』にみる、続編モノ成功のメソッド

 続編モノは「過去作の要素をどこまで残して、どこまで新しい要素を入れるのか」が難しく、その配分を間違えると、前作のファンから反発も招いてしまう。逆に、うまく転がすことができれば、スケールの大きな大河ドラマに展開できる。

 TBSドラマはこのバランス配分が、とても上手い。アニメや漫画と違い、映画やドラマといった実写作品の続編は、役者が年を重ねることの影響がとても大きい。年配の俳優なら1~2年の差はたいして変わらないが、10代、20代の時に演じた役を、月日を経て演じるとなると、その変化は大きい。だからこそ、俳優の成長自体を作品に取り込むような、リアリティーショー的な試みが求められる。

 歳月の流れによる俳優の変化を物語に取り込み、もっともうまくいったのが、倉本聰脚本の『北の国から』(フジテレビ系)と橋田壽賀子脚本の『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系、以下『わた鬼』)だろう。この2作は家族をテーマとした連ドラとして始まり、続編が作られるごとに、家族の中で起こる変化が描かれるようになり、その都度新しいテーマを取り入れていった。

 おそらく『逃げ恥』の続編は、この2作に近いものとなるのではないかと思う。最後に、これは個人的な希望だが、できれば定期的に『逃げ恥』の続編は作ってほしい。連ドラでは未来の可能性として描かれていたみくりと平匡の夫婦関係が、年月を重ねてどのようなものとなるのか、見届けたいのだ。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
新春スペシャルドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(仮)』
TBS系にて、2021年1月放送
出演:新垣結衣、星野源、大谷亮平、藤井隆、真野恵里菜、成田凌、古舘寛治、細田善彦、モロ師岡、高橋ひとみ、宇梶剛士、富田靖子、古田新太、石田ゆり子
原作:海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社『Kiss』所載)
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:那須田淳、磯山晶、峠田浩、勝野逸未
演出:金子文紀
音楽 :末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:星野源 「恋」(スピードスターレコーズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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