山田涼介にとって刑事役は新たな十八番に? 『キワドい2人』最終回が描いた家族の形

 全6話というプライムタイム帯の連続ドラマとしては少々短めの放送回数となった金曜ドラマ『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』(TBS系)が、10月16日に最終話を迎えた。ここ半年ですっかりぐちゃぐちゃになった連続ドラマのスケジュールを調整するねらいがあったのかもしれないが、それがかえってこのドラマのスピード感を高め、間延びすることなく主題となる部分を際立たせたように思える。いずれにしても、この最終話は「家族愛」と「兄弟愛」というテーマと、「刑事ドラマ」としてのバランスが上手く保たれたエピソードになっていたのではないだろうか。

 22年前のファミレス立てこもり事件に関わった刑事が立て続けに殺される事件で容疑者として指名手配されていた賢造(椎名桔平)が、池袋署の副署長である澤登(六角精児)の前に姿を現す。しかしすぐさま取り囲まれてしまい、黒木(田中圭)の目の前で撃たれ、昏睡状態に陥ることに。そんな中、神崎(山田涼介)と黒木は真犯人を探すために動き、22年前に何が起きたのかを調べていくうちに、神崎の実の父で事件の犯人だった井原(高橋努)が潜入捜査官であったという事実にたどり着く。そして神崎は、井原の墓で出会った謎の女性(仙道敦子)が母親のひかりであることを知るのである。

 賢造が昏睡状態に陥ったことによって、ふたたび衝突する神崎と黒木。黒木にとって賢造は、離れて暮らしてきたけれど紛れもなく血の繋がった父親であり、神崎にとっては血の繋がりはなくとも唯一の家族。それぞれの形で葛藤する2人の様は、「家族愛」という部分において極めて重要な部分だけあって、ひときわ丁寧に描かれていたと見える。それと同時に、自分が犯罪者の息子であると苦悩する神崎に彩乃(関水渚)が投げかける言葉で示される、“自分自身”の存在であったり、留置場での黒木と神崎のやり取りでのぞく“兄弟愛”であったりと、続けざまに主題となるメッセージが込められていたことは見逃せない。

 そうした普遍的な物語を描きつつ、クライマックスで神崎がひかりに「僕の本当の父は最後まで警察官だった。2人の父が僕を警察官にしてくれたんだ」と語るように、これがある1人の刑事の成長譚であったことも忘れてはなるまい。第1話では単なる生真面目な刑事だったのが、“兄”との出会いでみるみる刑事らしい貫禄を携えていき、同時に人情派なりの正義感を確立させていった神崎。とくに井原が刑事だったということがわかった最終回では、それも血の繋がりだったのかなと思えるほどだ。血の繋がりがあるのかないのか、そのどちらの家族のかたちも肯定していた点は好感が持てる。

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