『書類を男にしただけで』から見えてくる働く女性の実像 “男性”として奮闘する小芝風花に注目

 10月11日に放送の『書類を男にしただけで』(TBS系)は、女性の主人公が、採用試験のエントリーシートでうっかり男性のところに丸をつけてしまったことからスタートする社会派ラブコメディだ。

 主人公を演じるのは、今年9月に終了した『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)でも、女性の生きづらさを描いたコメディに挑んで好評だった小芝風花。本作では、男性と偽って大手広告代理店に就職した箕輪祐希を演じている。

 これまでにも、ひょんなことから男性と偽って生きることになったラブコメディというものは存在していた。日本であれば『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(フジテレビ系)が有名であるし、韓国でも『コーヒープリンス1号店』や『美男<イケメン>ですね』、『トキメキ☆成均館スキャンダル』など、人気の企画であった。

 こうした作品は、女性が男性だけの世界に潜入することでドキドキの日々がスタートするというきっかけになっていたが、本作は、2020年のオリジナルストーリーである。女性が男性として会社に入るということで、どれだけ景色が違って見えるかということを浮き彫りにするという、ジェンダー的な視点を持っている。

 主人公の祐希は、ドラマの冒頭、以前勤めていた会社の上司から、社長の愛人であると取引先の前で事実無根の冗談を言われ、そのセクハラ上司を、皆の見ている前で背負い投げをしたことでクビとなる。その後、転職活動をするも連戦連敗の中、最終選考まで通過したのが、大手広告代理店・インサイトエージェンシーだったのだ。

 しかし、彼女が最終面接まで進んだのは、エントリーシートの性別で男性に丸がついていたからということも関わっていた。健康診断を担当する女性医師から「中途採用で最終の健康診断まで進むのはみんな男なの」「ここで女だったら落とされるよ」と言われ、一念発起する。このシーンからは、2018年に起こった、医学部入試における女性差別問題が思い出されるのだが、祐希は、「男になって違う世界を見てみたい」、「私が男だったらきっと天下が取れる」と、男性として働くことを決意するのだった。

 祐希は会社で業績を上げ、広告の仕事を目指す人なら誰もが憧れる会社の花形部署・第七制作部に異動となる。そこで、男性というだけで、仕事や生活面でどれだけ目の当たりにすることが違っているのかということを実感するのだった。

 そこで祐希は女性プランナー・須藤あやか(水沢エレナ)と出会うのだが、彼女の立場も、女性の置かれている状況を表している。

 須藤あやかは優秀な社員ながらも、彼女曰く「誰にでもできる」男性のサポート役を担わされ、男性に花を持たせるために、分かったことも知らないふりをしたほうがいいと機転をきかせることもある。会社からは、「若い女を使ってクライアントの隙を見せるのも必要な戦略」などとみられていることも感じ取っており、限界を感じた彼女も会社を辞めることを考えていた。それは、前職の祐希の姿と重なっていたが、今の祐希は、「書類で男となっただけ」で、あやかとは見える世界が違っていた。