『わたどう』浜辺美波がダークな一面を見せる 『花より男子』に通じる四角関係に

 また、『花男』での四角関係はその時々で新たなキャラクターが追加投入されるものの、基本的には道明寺とつくしに加えて、滋と花沢類(小栗旬)の4人がメインだった。つくしが司との触れ合いや楓からの嫌がらせでボロボロになった時にいつでも近くで見守ってくれた花沢類と、いつも七桜の味方でい続ける本作での多喜川の姿もリンクする。

 また、物語の序盤、花沢類に好意を寄せるつくしに彼がちょっかいを出すのを司がいなそうとすると、“幼稚園の頃、司に盗られた大事なテディーベアのぬいぐるみの仕返しだ”と言い返していたシーンがあった。事の重大さは全く違うものの、城島(高杉真宙)が最初七桜をたぶらかそうとした理由と近しい気がしなくもない。自分の大事な実家の和菓子屋「しまや」とそれに懸けた父親の晴れ舞台を台無しにした(犯人だと思い込んでいた)椿に絶望を味わわせるために、椿の唯一の“大事なもの”を奪おうとしたのだ。『花男』でも最終的には花沢類がここぞというときにつくしと司それぞれの背中を押してくれるキーパーソンとなる訳だが、本作でも既に城島がその役割を担っているように見受けられる。

 七桜といることで椿の中で起こった変化に気づき七桜に感謝を伝える一番の古株の和菓子職人・山口(和田聰宏)と、楓の秘書・西田(本間ひとし)のポジション、それぞれの看板の歴史を熟知しながら、椿と司の成長をこれまで見守ってきた立場からさりげなくナイスアシストをしてくれるところにも共通点が感じられる。

 次週、ついに最終話2時間スペシャル。大旦那・宗寿郎(佐野史郎)が提案した除夜祭での和菓子対決で光月庵の後継者はどちらになるのか。また、椿の本当の父親であり、18年前の事件の真犯人に最も近しいであろう人物は一体誰なのか。たくさんの人間の人生が狂わされた“光月庵”の呪いが解かれ、あまりに悲しいこのラブミステリーの謎が解明された暁に、どうか一筋の光が見えますように。“敵対”ではなく“共存”“融合”の道がどうかどうか残されていますように。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『私たちはどうかしている』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、横浜流星、高杉真宙、岸井ゆきの、和田聰宏、岡部たかし、前原滉、草野大成、山崎育三郎、須藤理彩、中村ゆり、鈴木伸之、佐野史郎、観月ありさ
原作:安藤なつみ『私たちはどうかしている』(講談社『BE・LOVE』連載)
脚本:衛藤凛
演出:小室直子、猪股隆一
音楽:出羽良彰
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:www.ntv.co.jp/watadou
公式Twitter:@watadou_ntv
公式Instagram:@watadou_ntv

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